複合機のネットワークエラーの原因と対処法|印刷・スキャンできない時の確認手順
朝いちばんに印刷しようとしたら反応がない。昨日まで使えていたのに、急にパソコンから複合機が見えなくなった。オフィスでよく起きるトラブルです。
焦って本体の電源を入れ直したくなりますが、その前にやることがあります。複合機のネットワークエラーは、機械の故障ではなく設定やケーブルの問題であることが大半です。順番に確認すれば、業者を呼ばずに解決できるケースは少なくありません。
この記事では、原因の切り分け方から具体的な確認手順、そして自力では対応できない症状の見分け方までを整理しました。印刷ができない場合とスキャンだけができない場合では原因が異なるため、それぞれ分けて説明します。
目次
- 原因は3つの層のどこかにある
- 複合機本体・ネットワーク・パソコンに分けて考える
- 全員が使えないか、1人だけかで原因が絞れる
- エラーコードが表示されている場合
- まず確認したい5つの基本項目
- 複合機の電源が入っているか
- LANケーブルとリンクランプ
- 同じネットワークにつながっているか
- プリンターがオフラインになっていないか
- 印刷ジョブが溜まっていないか
- 最も多い原因はIPアドレスの変更
- なぜIPアドレスが変わるのか
- 複合機側で現在のアドレスを確認する
- パソコン側のポート設定を直す
- 固定IPアドレスにして再発を防ぐ
- 全員が印刷できない場合の対処
- 機器の再起動は順番が重要
- LANケーブルとハブを疑う
- 停電やルーター交換のあとに起きること
- 特定のパソコンだけ印刷できない場合
- ドライバーの選択と再インストール
- ファイアウォールとセキュリティソフト
- Windowsアップデート後に起きる不具合
- スキャンだけできない場合の原因
- 送信先パソコンの名前やアドレスが変わった
- Windows 11の仕様変更が原因のケース
- 回避策を選ぶときのセキュリティ上の注意
- それでも直らないときの連絡と伝え方
- 保守窓口に連絡すべき症状
- 伝えると早く解決する情報
- ネットワーク側は保守の対象外になることがある
- 同じトラブルを繰り返さないための備え
- 固定IPアドレスと構成図を残す
- ファームウェアと機器の更新
- 窓口を一本化しておく
- まとめ|切り分けてから動けば大半は自力で直る
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| まず何から確認すればいい? | どこで止まっているかを切り分ける | 複合機本体・ネットワーク・パソコンの3つの層に分けて考えると原因を絞り込めます。 |
| すぐできる確認項目は? | 電源・ケーブル・オフライン設定 | この5項目を見るだけで、かなりの割合のトラブルは自力で解消できます。 |
| 原因で一番多いのは? | IPアドレスの変更 | ルーターの再起動などをきっかけに割り当てが変わり、パソコンが機器を見失います。 |
この記事でわかること
- トラブルの原因を3つの層に分けて切り分ける考え方
- 業者を呼ぶ前に自分で確認できる基本項目
- 最も多い原因であるIPアドレス変更への対処と再発防止
- スキャン送信だけが止まる場合の原因とWindows更新の影響
- 保守窓口に連絡すべき症状と、早く解決するための伝え方
| 複合機とネットワークのトラブル、まとめてご相談ください 複合機だけでなく、ルーターやLAN配線を含めて確認できます。原因がどこにあるかわからない段階でもお声がけください。 お問い合わせはこちらから。 |
原因は3つの層のどこかにある
複合機本体・ネットワーク・パソコンに分けて考える
印刷の指示は、パソコンからネットワークを通って複合機に届きます。つまり、止まっている場所はこの3つのどこかです。
複合機本体の問題であれば、操作パネルにエラーが表示されていることが多くなります。ネットワークの問題ならケーブルやルーター、パソコンの問題ならドライバーや設定が原因です。
最初にやるべきは修理の依頼ではなく、どの層で止まっているかの切り分けです。ここを飛ばすと、無関係な設定をいじって状況を悪化させることがあります。
全員が使えないか、1人だけかで原因が絞れる
最も簡単で効果的な切り分けが、この確認です。オフィスの全員が印刷できないのであれば、複合機本体かネットワーク機器に原因があります。
一方、他の人は問題なく印刷できて自分だけができないなら、そのパソコン側の設定かドライバーに原因が絞られます。この一言を確認するだけで、調べる範囲が半分以下になります。
複数の人に声をかけて状況を聞くところから始めてください。
エラーコードが表示されている場合
操作パネルに用紙切れやトナー交換といったメッセージが出ているなら、その指示に従えば解決します。
しかし、英数字の組み合わせによるエラーコードが表示されている場合は事情が違います。内部の異常を示すコードは、利用者側では解除できないものがほとんどです。
この場合は保守窓口に連絡してください。メーカーのサイトでコードを検索すれば内容を確認できることもありますが、対処には技術員の訪問が必要になります。
関連記事:複合機がWi-Fiに繋がらない原因と対処法|周波数帯やSSIDの確認手順を解説
まず確認したい5つの基本項目
複合機の電源が入っているか
当たり前のようですが、省エネ設定によるスリープと電源オフは見分けがつきにくいものです。操作パネルに触れて反応するかを確認してください。
節電のために夜間に主電源を落としている場合、朝の立ち上げでネットワークの再接続に時間がかかることがあります。数分待ってから試すと復旧していることも珍しくありません。
LANケーブルとリンクランプ
複合機の背面にあるLANポートと、壁面やハブ側の差し込みを両方確認します。抜けかけていることが意外に多く、掃除やレイアウト変更のあとは特に起きやすい箇所です。
ポート横のランプが点灯・点滅していれば、物理的な接続は成立しています。消えている場合はケーブルの断線か差し込み不良を疑ってください。
同じネットワークにつながっているか
パソコンと複合機が別のネットワークにいると通信できません。無線ルーターが複数ある環境や、ゲスト用ネットワークに接続してしまっている場合に起こります。
パソコン側でインターネットに接続できているかも確認してください。パソコン自体がネットワークから切れていれば、当然印刷もできません。
プリンターがオフラインになっていないか
Windowsの設定画面で該当のプリンターを開き、オフラインの状態になっていないかを見ます。何らかの通信エラーをきっかけに、自動的にオフラインへ切り替わることがあります。
あわせて「通常使うプリンター」に設定されているかも確認してください。別の機器が既定になっていて、そちらに印刷が送られているケースもあります。
印刷ジョブが溜まっていないか
過去の印刷指示がエラーのまま残っていると、後続の印刷が処理されなくなります。印刷キューを開き、残っているジョブをすべて削除してください。
削除できない場合は、パソコンの再起動で解消することがあります。大きなデータを一度に送ると、機器側の受信容量が不足して処理が止まることもあります。
関連記事:複合機がWi-Fiに繋がらない原因と対処法|周波数帯やSSIDの確認手順を解説
最も多い原因はIPアドレスの変更
なぜIPアドレスが変わるのか
IPアドレスは、ネットワーク上での機器の住所にあたるものです。パソコンはこの住所を頼りに複合機を探します。
多くのオフィスでは、ルーターが自動でアドレスを割り当てる設定になっています。この方式では、ルーターの再起動や停電、機器の入れ替えをきっかけに、複合機のアドレスが以前と違うものに変わることがあります。
住所が変わればパソコンは機器を見つけられません。「昨日まで使えていたのに突然」というトラブルの多くは、これが原因です。
複合機側で現在のアドレスを確認する
まず、複合機の操作パネルからネットワーク設定の画面を開き、現在割り当てられているIPアドレスを確認します。機種によっては設定一覧を印刷する機能もあります。
この数値を、パソコン側に登録されているアドレスと見比べてください。両者が違っていれば、原因はほぼ確定です。
パソコン側のポート設定を直す
パソコンのプリンターのプロパティからポートの設定を開き、複合機の新しいIPアドレスに書き換えます。標準のTCP/IPポートを使っている場合は、この修正で印刷が復旧します。
ドライバーを入れ直す方法もありますが、台数が多いオフィスでは現実的ではありません。先にポート設定の修正を試すほうが早く済みます。
固定IPアドレスにして再発を防ぐ
根本的な対策は、複合機に固定のIPアドレスを割り当てることです。住所が変わらなくなるため、同じトラブルが起きなくなります。
ただし、他の機器と重複しない範囲を選ぶ必要があり、ルーターの設定内容を理解していないと別の不具合を招きます。社内にネットワークの担当者がいない場合は、販売会社や保守業者に依頼するのが確実です。
関連記事:複合機のサイズ一覧|本体寸法・重さ・設置スペースの目安と対応用紙サイズを解説
参考記事:固定IPアドレスの確認方法。自分の回線が固定IPかを見分ける手順を解説|IoTBiz
| 複合機とネットワークのトラブル、まとめてご相談ください IPアドレスの固定やネットワーク設定の見直しも承ります。設定を触るのが不安な場合はお任せください。 お問い合わせはこちらから。 |
全員が印刷できない場合の対処
機器の再起動は順番が重要
ネットワーク機器の再起動は有効な手段ですが、順番を守らないと復旧しません。上流から順に立ち上げていくのが基本です。
回線終端装置やモデムの電源を入れ、2分ほど待ってからルーター、さらに1分ほど待ってからハブ、最後に複合機とパソコンという順序で起動します。
いっせいに電源を入れ直すと、アドレスの割り当てが正しく行われず、同じ状態が続くことがあります。
LANケーブルとハブを疑う
複合機とハブをつないでいるケーブルを別のものに交換してみてください。ケーブルは見た目に問題がなくても、内部で断線していることがあります。
ケーブルを替えても復旧しない場合は、ハブのポートを別の空きポートに差し替えます。それでも改善しなければ、複合機本体かハブ自体の故障の可能性が高まります。
停電やルーター交換のあとに起きること
停電のあとは複数の問題が同時に発生しがちです。ハブの設定が初期化される、ルーターのDHCP設定が戻る、複合機の日時がずれるといったことが重なります。
回線業者の工事やルーターの交換後も同様です。ネットワークの構成が変わった直後にトラブルが起きた場合は、故障よりも設定のずれを先に疑ってください。
特定のパソコンだけ印刷できない場合
ドライバーの選択と再インストール
印刷画面で選ばれている機器が正しいかを確認します。似た名前のプリンターが複数登録されていて、使っていないほうに送っているケースがあります。
該当のドライバーが一覧に表示されない、あるいはエラーが続く場合は、いったん削除して入れ直します。古いドライバーが原因の場合は、メーカーサイトから最新版を入れると解決することがあります。
ファイアウォールとセキュリティソフト
セキュリティソフトのファイアウォール機能が、複合機との通信を遮断していることがあります。ソフトを新しく導入した直後や、更新の直後に起きやすい症状です。
一時的に機能を無効にして印刷できるかを試すと切り分けができます。印刷できた場合は機能を有効に戻したうえで、必要な通信を例外として許可する設定を行ってください。
設定内容についてはセキュリティソフトの提供元に確認するのが確実です。社内に管理者がいる場合は必ず相談してから操作してください。
Windowsアップデート後に起きる不具合
大型のアップデート後に印刷やスキャンができなくなる事例は、近年たびたび発生しています。セキュリティ強化のために通信の仕様が変更されることがあるためです。
該当する場合は、メーカーのサポートサイトに対処法が掲載されていることがほとんどです。「機種名 アップデート後 印刷できない」で検索すると、公式の案内にたどり着けます。
| 複合機とネットワークのトラブル、まとめてご相談ください 複数台のパソコンで設定をやり直す作業もお引き受けします。台数が多くて手が回らないという場合もご相談ください。 お問い合わせはこちらから。 |
スキャンだけできない場合の原因
送信先パソコンの名前やアドレスが変わった
スキャンしたデータをパソコンの共有フォルダーに送る機能は、複合機側に「どのパソコンのどのフォルダーへ送るか」を登録して使います。
そのため、パソコンを買い替えた、コンピューター名を変えた、IPアドレスが変わったという場合、複合機側の宛先を登録し直す必要があります。印刷はできるのにスキャンだけ失敗するときは、まずここを疑ってください。
メーカーによっては、この状態を示す専用のエラーコードが表示されます。コードの意味はサポートサイトで確認できます。
Windows 11の仕様変更が原因のケース
近年増えているのがこの要因です。Windows 11のバージョン24H2以降、Enterprise・Pro・Educationの各エディションでは、ファイル共有の通信に電子署名を付けることが必須になりました。
この変更により、認証を使わない設定でスキャン送信を行っていた環境では、更新後に送信が失敗するようになります。複合機メーカー各社も、この件について案内を出しています。
対処としては、複合機側で認証を使う設定に切り替え、宛先にユーザー名とパスワードを登録し直す方法が案内されています。
参照:Microsoft Learn「SMB 署名動作の制御」/IPA「デジタル複合機分野の認証申請・評価について」
回避策を選ぶときのセキュリティ上の注意
インターネット上には、Windows側のセキュリティ設定を緩めて元の状態に戻す方法も紹介されています。手っ取り早く見えますが、この選択には注意が必要です。
署名や認証の仕組みは、通信の改ざんやなりすましを防ぐために導入されたものです。これを無効にすると、社内ネットワーク全体のリスクが上がります。メーカー各社も、認証を使う設定への変更を推奨しています。
複合機は内部に文書データを保持するネットワーク機器であり、政府調達ではIPAの制度にもとづくセキュリティ要件が定められているほどです。設定を緩める判断は、社内の管理者と相談したうえで行ってください。
それでも直らないときの連絡と伝え方
保守窓口に連絡すべき症状
英数字のエラーコードが表示されている、電源を入れても操作パネルが反応しない、基本項目を確認しても全員が印刷できない。これらは自力での対応が難しい症状です。
保守契約を結んでいれば、出張作業費や部品代は料金に含まれています。遠慮せずに連絡してください。無理に設定を触って状況が複雑になるほうが、復旧に時間がかかります。
伝えると早く解決する情報
連絡の際に整理しておきたいのは、機種名と設置場所、いつから起きているか、全員か特定の人だけか、エラーコードの内容、そして直前に何か変更したかという5点です。
「ルーターを交換した」「パソコンを買い替えた」「Windowsの更新があった」といった情報は、原因の特定を大きく早めます。些細に思えることでも伝えてください。
ネットワーク側は保守の対象外になることがある
知っておきたいのが、複合機の保守契約の範囲です。契約に含まれるのは複合機本体の修理と調整であり、ルーターやハブ、社内LANの配線、パソコンの設定は対象外とされることがあります。
原因がネットワーク側にあった場合、別途費用を請求されるケースもあります。訪問を依頼する前に、どこまでが契約範囲かを確認しておくと行き違いを防げます。
複合機とネットワークの両方を扱える会社と付き合っていれば、この線引きで困ることは少なくなります。
| 複合機とネットワークのトラブル、まとめてご相談ください 複合機の保守とネットワークの管理を別々の会社に頼んでいて、原因の切り分けで困っている。そうしたご相談も承ります。 お問い合わせはこちらから。 |
同じトラブルを繰り返さないための備え
固定IPアドレスと構成図を残す
複合機に固定のIPアドレスを割り当てておけば、再起動や停電でアドレスが変わることはなくなります。導入時に設定しておくのが理想です。
あわせて、どの機器にどのアドレスを割り当てたかを一覧にして残しておいてください。担当者が変わっても状況を把握できる状態にしておくことが、復旧の速さにつながります。
ファームウェアと機器の更新
複合機の内部ソフトウェアであるファームウェアが古いと、新しいパソコンやOSとうまく通信できないことがあります。保守契約に入っていれば、訪問時に更新してもらえます。
ルーターやハブも同様です。10年近く使っている機器は、性能面でも安定性の面でも不安が残ります。トラブルが頻発するようになったら、機器そのものの寿命を疑ってください。
窓口を一本化しておく
複合機は複合機の会社、ネットワークは別の会社、パソコンはまた別、という状態だと、トラブルのたびに「うちの担当ではない」というやり取りが発生します。
オフィスのIT環境をまとめて相談できる相手がいれば、原因の切り分けから復旧までを一度の連絡で進められます。復旧までの時間は、契約内容よりも窓口の構造で決まることが少なくありません。
まとめ|切り分けてから動けば大半は自力で直る
複合機のネットワークエラーは、本体の故障であることのほうが少数です。まずは全員が使えないのか1人だけなのかを確認し、電源、ケーブル、オフライン設定、印刷ジョブという基本項目を見てください。
原因として最も多いのはIPアドレスの変更です。複合機側で現在のアドレスを確認し、パソコンのポート設定を書き換えれば復旧します。固定IPアドレスを割り当てておけば、この種のトラブルは起きなくなります。
印刷はできるのにスキャンだけ失敗する場合は、送信先の設定かWindowsの仕様変更が原因です。セキュリティ設定を緩める回避策も出回っていますが、リスクを理解したうえで判断してください。
英数字のエラーコードが出ている、基本項目を確認しても改善しないという場合は、早めに保守窓口へ連絡するのが結果的に近道です。その際、直前に行った変更を伝えると解決が早まります。
| 複合機とネットワークのトラブル、まとめてご相談ください 複合機からルーター、LAN配線、パソコンの設定まで一括で対応できます。窓口を一本化したい方はご相談ください。 お問い合わせはこちらから。 |