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オフィス移転のネットワーク構築手順|回線・LAN・Wi-Fiの準備と注意点を解説

オフィス移転では、デスクや書類の引っ越しに目が向きがちですが、インターネットや社内ネットワークの準備も欠かせません。移転初日にネットがつながらなければ、メールもクラウドサービスも使えず、業務が止まってしまいます。

ネットワークの移転は、回線の手配、LAN配線、Wi-Fi、サーバーや複合機の設定など、やるべきことが多く、準備に時間もかかります。専任のIT担当者がいない会社ほど、早めに計画を立てることが大切です。

この記事では、オフィス移転でネットワークに必要な作業、移転までのスケジュール、移転前の準備、移転当日から移転後までの作業、移転を機に見直したいこと、よくある失敗と対策、業者に依頼する範囲までを順に解説します。

まずは、検討時によく出る3つの疑問への答えを表で確認してください。確認したいポイントをクリックすると、該当する見出しへ移動します。

確認したいポイント結論詳細
いつから準備すればいい?移転日の3〜6か月前から始める回線の開通には1〜2か月かかることがあります。現状の把握と設計、回線の申し込みを早めに進め、移転前にテストを行います。
何を準備すればいい?回線・LAN配線・Wi-Fi・機器・設定の5つ回線の手配、配線の設計と工事、Wi-Fiの設計、ルーターやサーバーの移設、IPアドレスなどの設定を計画的に進めます。
よくある失敗は?回線の開通遅れと、設定変更の見落とし回線が移転日に間に合わない、固定IPアドレスが変わり外部から接続できない、複合機やカメラの再設定を忘れるといった例があります。

この記事でわかること

  • オフィス移転でネットワークに必要な作業の全体像
  • 移転の3〜6か月前から始めるネットワーク移転のスケジュール
  • 回線・LAN配線・Wi-Fi・サーバーなど移転前に準備すること
  • 移転当日から移転後までの作業と、移転を機に見直したいこと
  • オフィス移転のネットワークでよくある失敗と対策

オフィス移転でネットワークに必要な作業

オフィス移転に伴うネットワークの作業は、インターネット回線の引っ越しだけではありません。社内のパソコンや機器をつなぐネットワーク全体を、新しいオフィスで組み直す作業が必要になります。

移転で見直すべきネットワークの範囲

オフィス移転で対応が必要になる主なネットワークの範囲は、次のとおりです。

  • インターネット回線:光回線の移転または新規契約、プロバイダの手続き
  • ネットワーク機器:ルーター、UTM、スイッチングハブなどの移設と設定
  • LAN配線:新しいレイアウトに合わせた配線の設計と工事
  • Wi-Fi:アクセスポイントの配置と設定
  • サーバー・NAS:社内に置いているサーバーやファイル共有機器の移設
  • ネットワークにつながる機器:複合機、ビジネスフォン、防犯カメラなどの再設定

これらは互いにつながっているため、どれか1つでも準備が遅れると、移転後の業務に影響します。全体を1つのプロジェクトとして管理することが大切です。

担当者だけで抱え込まない

ネットワークの移転は専門的な作業が多く、IT担当者が1人しかいない、または兼任の総務担当者が対応している会社では、負担が大きくなりがちです。

社内で対応する範囲と、回線事業者や工事業者に任せる範囲を早めに分けておくと、移転の準備を無理なく進められます。回線から配線、機器の設定までまとめて相談できる業者に依頼すれば、窓口を1つにできます。

オフィス移転のネットワーク移転スケジュール

ネットワークの移転は、回線の開通や配線工事に時間がかかるため、移転日の3〜6か月前から準備を始めるのが理想です。一般的なスケジュールの目安を紹介します。

6〜3か月前:現状の把握と要件の整理

まずは、今のオフィスのネットワーク環境を把握します。契約している回線、使っている機器、IPアドレスの設定、社内のサーバーなどを一覧にまとめましょう。

あわせて、新しいオフィスで必要になる環境を整理します。社員数の増減、Web会議やクラウドの利用状況、来客用Wi-Fiの必要性などを踏まえ、回線の速度や機器の性能を決めていきます。

3〜2か月前:回線の申し込みとネットワークの設計

新しいオフィスの住所で利用できる光回線を確認し、移転または新規の申し込みを行います。光回線の開通には、申し込みから1〜2か月程度かかることもあるため、この時期までに申し込んでおくと安心です。

並行して、LAN配線のルート、情報コンセントの位置と数、ネットワーク機器を置く場所などを、新しいオフィスのレイアウト図面をもとに設計します。

2〜1か月前:機器の手配と配線工事

設計にもとづいて、ルーターやスイッチングハブ、Wi-Fiのアクセスポイント、LANケーブルなど必要な機器を手配します。古い機器を使い続けるか、新しくするかもこの時期までに決めておきましょう。

LAN配線の工事は、内装工事やオフィス家具の搬入のタイミングと調整しながら進めます。床下や天井裏に配線を通す場合は、内装業者との連携が欠かせません。

2週間前〜移転当日:設定・テスト・切り替え

回線が開通したら、新しいオフィスでルーターなどの機器を設置し、インターネットや社内ネットワークに接続できるかをテストします。可能であれば、移転の1〜2週間前までにテストを済ませておくと、不具合があっても対応する時間を確保できます。

移転当日は、パソコンやサーバー、複合機などを接続し、業務に必要なシステムがすべて使えるかを確認します。

オフィス移転の前に準備すること

ネットワークの移転をスムーズに進めるには、移転前の準備が最も重要です。準備しておきたい主な項目を紹介します。

今のネットワークを棚卸しする

最初に、今のネットワークの状態を一覧にまとめます。次のような項目を確認しておきましょう。

  • 回線の種類と契約している事業者、プロバイダ、通信速度
  • 固定IPアドレスの有無と数
  • ルーター、UTM、スイッチングハブ、アクセスポイントなどの機種と台数
  • 社内サーバーやNASの有無と、保存しているデータ
  • ネットワークにつながっている複合機、電話、防犯カメラなどの機器
  • IPアドレスの割り当て方法や、Wi-Fiの名前とパスワード

棚卸しの際は、機器の設定画面にログインするための管理者IDとパスワードも確認しておきましょう。導入した業者しかわからない状態になっていると、移転先での設定変更ができず、作業が止まってしまうことがあります。

ネットワークの構成図がない場合は、この機会に作っておくと、移転後のトラブル対応や、次の見直しにも役立ちます。

インターネット回線を手配する

今の回線を新しいオフィスに移転するか、移転を機に別の回線に乗り換えるかを決めます。どちらの場合も、回線事業者とプロバイダの両方で手続きが必要になるのが一般的です。

固定IPアドレスを使っている場合は、移転によってIPアドレスが変わるかどうかを必ず確認しましょう。IPアドレスが変わると、取引先のシステムへの接続や、外部からの社内への接続に影響が出ることがあります。

新しいオフィスのビルによっては、光回線の設備が引き込まれていない、利用できる回線の種類が限られているといったこともあります。物件を契約する前に、利用できる回線を確認しておくと安心です。

LAN配線を設計する

新しいオフィスのレイアウトに合わせて、どの席に何本のLANケーブルが必要か、ネットワーク機器をどこに置くかを決めます。将来の座席の増加やレイアウト変更も見込んで、情報コンセントは少し多めに用意しておくと便利です。

床下に配線スペースのあるOAフロアのオフィスなら、配線を床下に通して見た目もすっきりさせられます。配線の品質は通信の速度や安定性に直結するため、LAN工事の実績がある業者に依頼しましょう。

Wi-Fiを設計する

Wi-Fiは、アクセスポイントの数や位置によって、つながりやすさが大きく変わります。オフィスの広さや壁の配置、同時に接続する端末の数を踏まえて、アクセスポイントの配置を決めましょう。

セキュリティの面では、暗号化の方式にWPA2またはWPA3を選ぶ、推測されにくいパスワードを設定する、機器のソフトウェアを最新にするといった対策が基本です。来客用のWi-Fiを提供する場合は、業務用のネットワークと分けることも大切です(参考:総務省「無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について」)。

サーバー・NASの移設とデータのバックアップ

社内にサーバーやNASを置いている場合は、移設の前に必ずデータのバックアップを取っておきましょう。運搬中の振動や、電源の入れ直しをきっかけに故障することもあるためです。

サーバーを移設する場合は、停止する時間を決め、業務への影響が少ない日時に作業を行います。この機会に、クラウドサービスへの移行を検討するのも1つの方法です。

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移転当日から移転後までの作業

準備が整ったら、いよいよ移転当日の作業です。当日の作業を効率よく進め、移転後のトラブルを防ぐためのポイントを紹介します。

機器の設置と設定

移転当日は、ルーターやUTM、スイッチングハブなどのネットワーク機器を設置し、パソコンやサーバー、複合機などを接続していきます。あらかじめ機器ごとの設置場所と接続先を一覧にしておくと、作業がスムーズに進みます。

IPアドレスの設定を変える必要がある場合は、どの機器をどう設定するかも事前にまとめておきましょう。作業の途中で予定外の不具合が起きることもあるため、移転当日は業務の開始時刻に余裕を持たせるか、休日に作業を行うと安心です。

動作確認とテスト

機器を接続したら、業務に必要な機能がすべて使えるかを確認します。

  • インターネットやメールが使えるか
  • 社内のファイルサーバーやNASにアクセスできるか
  • 複合機での印刷やスキャンができるか
  • ビジネスフォンやひかり電話の発着信ができるか
  • 取引先のシステムやVPNに接続できるか
  • Wi-Fiがオフィス全体でつながるか

実際に業務で使う社員にも確認してもらうと、担当者だけでは気づきにくい不具合を見つけやすくなります。

旧オフィスの回線・機器の撤去と返却

旧オフィスの回線は、新しいオフィスで問題なく使えることを確認してから解約しましょう。回線事業者から借りている機器は、返却が必要になるため、返却の方法と期限を確認しておきます。

処分するルーターやパソコン、サーバーなどは、保存されている設定やデータを消去してから廃棄することが大切です。機器に残った情報が第三者に渡ると、情報漏えいにつながるおそれがあります。

移転を機に見直したいネットワーク環境

オフィス移転は、ネットワーク環境をよりよい状態に見直すよい機会です。今の環境をそのまま移すのではなく、次の点も検討してみましょう。

回線の速度と接続方式

社員が増えている、Web会議やクラウドの利用が増えているといった場合は、回線の速度や接続方式の見直しを検討しましょう。混雑の影響を受けにくいIPv6 IPoEに対応した回線や、より高速なプランに変更することで、通信の遅さによるストレスを減らせます。

クラウドサービスへの移行

社内に置いているサーバーをクラウドサービスに移行すれば、サーバーの移設作業がなくなり、次の移転やテレワークにも対応しやすくなります。サーバーの老朽化が進んでいる場合は、特に検討する価値があります。

セキュリティ対策の強化

移転に合わせてネットワークを組み直すタイミングは、UTMなどのセキュリティ機器を導入・更新するよい機会です。ネットワークの入り口でまとめて対策することで、社内のパソコンや機器を外部の攻撃から守りやすくなります。

あわせて、社員のパソコンのウイルス対策ソフトやOSの更新状況も確認し、入り口と端末の両方で守る体制を整えておくと安心です。

▼関連記事:中小企業にUTMは必要?狙われる実態と、国の支援制度を含めた対策の選び方

▼関連記事:UTMとウイルス対策ソフトの違いは?守る場所と防げる範囲を比べて解説

電話・複合機との連携

ひかり電話やクラウドPBX、ネットワークにつながる複合機などは、回線やネットワークの構成と密接に関係しています。移転に合わせて電話や複合機の契約も見直せば、通信費や保守費をまとめて削減できることがあります。

▼関連記事:ビジネスフォンの工事内容と費用相場|必要な資格・当日の流れと業者選びのポイント

オフィス移転のネットワークでよくある失敗と対策

オフィス移転のネットワークでは、準備不足や確認漏れによるトラブルがよく起こります。代表的な失敗と対策を紹介します。

回線の開通が移転日に間に合わない

最も多い失敗が、光回線の申し込みが遅れ、移転日に開通が間に合わないというケースです。3月や9月などオフィスの移転が集中する時期は、工事の予約が取りにくくなります。

対策として、移転日が決まったらすぐに回線を申し込むことが大切です。万一に備えて、モバイルWi-Fiのレンタルなど、一時的な通信手段も用意しておくと安心です。

固定IPアドレスが変わり外部から接続できない

回線の移転や乗り換えで固定IPアドレスが変わると、取引先のシステムへの接続や、VPN、防犯カメラの遠隔確認などができなくなることがあります。

事前にIPアドレスが変わるかを確認し、変わる場合は、取引先への連絡や、機器・システムの設定変更を移転前に準備しておきましょう。

複合機・電話・防犯カメラの再設定を忘れる

パソコンやサーバーの設定には気を配っていても、複合機のスキャンの送信先や、防犯カメラの録画設定、ビジネスフォンの設定などは見落とされがちです。

棚卸しの段階で、ネットワークにつながるすべての機器を一覧にしておくことで、再設定の漏れを防げます。

▼関連記事:防犯カメラの危険性とは?乗っ取り・情報漏えいの実例と導入前に必要な対策を解説

Wi-Fiがつながりにくい場所がある

旧オフィスと同じ台数のアクセスポイントを設置したものの、新しいオフィスでは壁の配置が違い、つながりにくい場所ができたというケースもあります。

設計の段階で、電波の届き方を事前に調べてアクセスポイントの位置を決めることや、移転後に実際の電波の状態を確認して調整することが大切です。

社員への周知が不足している

Wi-Fiの名前やパスワード、プリンターの設定、ファイルサーバーの場所などが変わったことを社員に伝えていないと、移転初日に問い合わせが殺到し、担当者が対応に追われることになります。

変更点と接続方法をまとめた簡単な案内を、移転前に配布しておくと、移転直後の混乱を防げます。問い合わせ先もあわせて伝えておきましょう。

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業者に依頼する範囲と選び方

オフィス移転のネットワーク作業は、すべてを自社で行うのは難しいのが実情です。どこまでを業者に任せるかを決め、信頼できる業者を選びましょう。

自社で対応すること・業者に任せること

現状の棚卸しや、新しいオフィスで必要な環境の整理、社内への周知などは、業務の内容をよく知る自社で行うのが基本です。

一方で、回線の手配、LAN配線工事、ネットワーク機器の設定、Wi-Fiの設計などは、専門知識と資格が必要な作業が多いため、業者に任せるのが安心です。電話回線やネットワーク機器を回線に接続する工事には、工事担任者の資格が必要な場合もあります。

業者を選ぶポイント

業者を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。

  • 回線の手配から配線工事、機器の設定までまとめて対応できるか
  • オフィス移転に伴うネットワーク工事の実績があるか
  • 電話や複合機、UTMなども含めて相談できるか
  • 移転後のトラブルにすぐ対応してもらえるか
  • 見積もりの内訳がわかりやすく、追加費用の条件が明確か

複数の業者に作業を分けて依頼すると、トラブルが起きたときに原因の切り分けや責任の所在が曖昧になりがちです。できるだけ窓口を1つにまとめられる業者を選ぶと、移転後の管理も楽になります。

▼関連記事:OA機器の見積もりの取り方|相場の目安と見積書の見方、費用を抑えるコツ

まとめ

オフィス移転に伴うネットワークの作業は、インターネット回線、ネットワーク機器、LAN配線、Wi-Fi、サーバー、ネットワークにつながる機器と、幅広い範囲に及びます。移転初日から業務を止めないために、全体を1つのプロジェクトとして計画的に進めましょう。

準備は、移転日の3〜6か月前から始めるのが理想です。現状の棚卸し、回線の申し込み、配線とWi-Fiの設計、機器の手配、事前のテストという順に進め、固定IPアドレスの変更や機器の再設定の漏れがないよう注意しましょう。

移転は、回線の速度やセキュリティ対策、電話や複合機の契約をまとめて見直すよい機会でもあります。自社で対応する範囲と業者に任せる範囲を分け、信頼できる業者と一緒に、新しいオフィスにふさわしいネットワーク環境を整えましょう。

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