法人向け光回線の比較ポイント|個人契約との違いと失敗しない選び方を解説
クラウドサービスやWeb会議、キャッシュレス決済など、今やほとんどの業務がインターネットを前提に動いています。そのため、オフィスの光回線の品質は、業務の効率に直結するといっても過言ではありません。
一方で、光回線のサービスは数が多く、「法人向けと個人向けは何が違うのか」「どの回線を選べばよいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。料金だけで選ぶと、通信が遅い、故障時の対応が遅いといった不満につながることもあります。
この記事では、法人向け光回線と個人向けの違い、回線の種類、比較するときのポイント、利用目的別の選び方、契約から開通までの流れ、乗り換え時の注意点までを順に解説します。
まずは、検討時によく出る3つの疑問への答えを表で確認してください。確認したいポイントをクリックすると、該当する見出しへ移動します。
目次
- 法人向け光回線と個人向け光回線の違い
- 固定IPアドレスを使える
- 法人専用のサポート窓口がある
- 法人名義の請求書や支払い方法に対応している
- 個人向けプランを法人名義で契約できる場合もある
- 法人向け光回線の種類
- フレッツ光
- 光コラボレーション(光コラボ)
- 独自回線(電力系・専用設備)
- 帯域確保型・専用線
- 法人向け光回線を比較するポイント
- 通信速度と安定性(IPv6 IPoEへの対応)
- 固定IPアドレスの有無と数
- サポート体制と故障時の対応
- 月額料金と初期費用
- 契約期間と解約金
- 提供エリアと建物の設備
- ひかり電話などの電話サービス
- 利用目的別の法人向け光回線の選び方
- 少人数の事務所・店舗
- 社員が多く、クラウドやWeb会議をよく使うオフィス
- VPN・サーバー・防犯カメラの遠隔確認を行う会社
- 通信が止まると業務が止まる会社
- 法人向け光回線の契約から開通までの流れ
- 申し込みから開通までの流れ
- 申し込みに必要な書類
- 開通までの通信手段を用意する
- 光回線の乗り換え・見直しのときの注意点
- 電話番号を引き継げるか確認する
- 解約金と工事費の残りを確認する
- 新しい回線が開通してから旧回線を解約する
- 光回線とあわせて見直したいこと
- ルーターや社内のWi-Fi環境
- セキュリティ対策
- 電話・複合機などのOA機器
- まとめ
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 法人向けと個人向けの違いは? | 固定IP・サポート・請求書対応が主な違い | 法人向けは固定IPアドレスや法人専用の窓口、請求書払いに対応したプランが多く、業務での利用や経理処理に向いています。 |
| 光回線の種類は? | フレッツ光・光コラボ・独自回線の3つが中心 | NTTの設備を使うフレッツ光と光コラボ、電力会社系などが自社の設備で提供する独自回線があり、エリアや速度、料金が異なります。 |
| 比較で重視するポイントは? | 速度の安定性・固定IP・サポート・契約条件 | IPv6 IPoEへの対応、固定IPの要否、故障時の対応時間、契約期間と解約金、ひかり電話の有無などを比べましょう。 |
この記事でわかること
- 法人向け光回線と個人向け光回線の違い
- フレッツ光・光コラボ・独自回線など回線の種類と特徴
- 通信速度・固定IP・サポート・契約条件など比較するときのポイント
- 事務所の規模や使い方に合わせた利用目的別の選び方
- 契約から開通までの流れと、乗り換え・見直しのときの注意点
法人向け光回線と個人向け光回線の違い
光回線には、法人向けのプランと個人向けのプランがあります。どちらも光ファイバーを使う点は同じですが、業務で使うための機能やサポート、契約・支払いの方法に違いがあります。
固定IPアドレスを使える
法人向け光回線の多くは、固定IPアドレスを利用できます。固定IPアドレスとは、インターネット上の住所にあたるIPアドレスが常に同じになる仕組みです。
固定IPアドレスがあると、拠点間を安全につなぐVPNの構築、社内サーバーの公開、防犯カメラやネットワーク機器の遠隔管理などがしやすくなります。取引先のシステムにアクセスする際に、IPアドレスによる接続制限を求められることもあります。
法人専用のサポート窓口がある
法人向けプランでは、法人専用のサポート窓口や、故障時の優先対応、平日夜間や土日にも対応する窓口などが用意されていることが多くあります。
インターネットが止まると業務全体が止まってしまう会社にとって、トラブル時にどれだけ早く対応してもらえるかは非常に重要です。サービスによっては、一定の品質を約束する「SLA(品質保証制度)」を設けているものもあります。
法人名義の請求書や支払い方法に対応している
法人向けプランは、法人名義での契約や請求書の発行、口座振替や請求書払いなど、経理処理に合わせた支払い方法に対応していることが一般的です。複数の拠点の料金をまとめて請求してもらえるサービスもあります。
個人向けプランを法人名義で契約できる場合もある
光回線のサービスによっては、個人向けと同じ内容のプランを、法人名義で契約できる場合もあります。社員が数名程度で、固定IPアドレスや手厚いサポートが不要であれば、こうしたプランで費用を抑える方法もあります。
ただし、同じ内容でもサポートの窓口や故障時の対応が個人向けと同じになる場合があるため、業務への影響の大きさを踏まえて選ぶことが大切です。
法人向け光回線の種類
総務省の平成30年の通信利用動向調査によると、インターネットを利用している企業のうち、光回線を利用している企業は87.9%にのぼります(参考:総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」)。光回線は、今や企業のインターネット接続の中心といえる存在です。
ひと口に光回線といっても、提供の仕組みによっていくつかの種類があります。主な種類と特徴を確認しておきましょう。
フレッツ光
フレッツ光は、NTT東日本・NTT西日本が提供する光回線です。全国の幅広いエリアで利用でき、法人向けのサポートやオプションも充実しています。
フレッツ光を使う場合は、回線の契約とは別に、インターネット接続サービス(プロバイダ)との契約が必要です。プロバイダによって通信の品質やサービス内容が変わるため、回線とあわせて選ぶことが大切です。
光コラボレーション(光コラボ)
光コラボは、NTTのフレッツ光の設備を借りて、さまざまな事業者が自社のブランドで提供している光回線です。回線とプロバイダを一括で契約できるものが多く、請求や問い合わせの窓口を1つにまとめられます。
利用できるエリアはフレッツ光とほぼ同じで、事業者ごとに料金やサポート、セット割引などが異なるのが特徴です。フレッツ光からの乗り換えも、多くの場合は大がかりな工事をせずに行えます。
独自回線(電力系・専用設備)
独自回線は、電力会社系の通信事業者などが、自社で敷設した光ファイバーの設備を使って提供する光回線です。東海地方のコミュファ光のように、地域ごとに提供されているサービスが代表的です。
利用者が比較的少ないため、時間帯による混雑の影響を受けにくい傾向があります。一方で、提供エリアが限られるため、オフィスの所在地で利用できるかを確認する必要があります。
帯域確保型・専用線
より高い安定性が求められる場合は、一定の通信速度を確保するタイプの回線や、拠点どうしを専用の回線でつなぐ専用線といった選択肢もあります。
一般的な光回線は、最大速度を目標として提供する「ベストエフォート型」です。帯域確保型や専用線は、通信が止まると大きな損失が出る業種などで使われますが、月額料金は大幅に高くなります。
法人向け光回線を比較するポイント
法人向け光回線を選ぶ際は、料金だけでなく、業務に必要な品質やサポートを満たしているかという視点で比べることが大切です。主な比較ポイントは次のとおりです。
通信速度と安定性(IPv6 IPoEへの対応)
光回線の速度は、最大速度の数字だけでなく、混雑する時間帯でも安定して使えるかが重要です。特に、朝の始業時や昼休み明けなど、多くの人が同時に使う時間帯に遅くなると、業務に影響が出ます。
比較の目安になるのが、「IPv6 IPoE」という接続方式に対応しているかです。従来の方式より混雑の影響を受けにくいとされ、多くのプロバイダや光コラボで提供されています。社員が多い会社ほど、確認しておきたいポイントです。
固定IPアドレスの有無と数
VPNや社内サーバー、防犯カメラの遠隔確認などを行う場合は、固定IPアドレスが必要です。固定IPアドレスが標準で付くプランと、月額のオプションとして追加するプランがあります。
必要なIPアドレスの数によっても料金が変わるため、今後使う予定のシステムも含めて、何個必要かを事前に整理しておきましょう。
サポート体制と故障時の対応
故障の受付時間、訪問修理までの目安、法人専用の窓口の有無を確認しましょう。夜間や休日も営業している店舗や施設では、24時間受付かどうかも重要です。
回線とプロバイダ、ルーター、電話などを別々の会社と契約していると、トラブルの原因がどこにあるのか切り分けに時間がかかります。窓口を1つにまとめられるかも、比較のポイントです。
月額料金と初期費用
料金を比べる際は、月額料金だけでなく、工事費、事務手数料、固定IPアドレスなどのオプション料金も含めて比べましょう。工事費が実質無料になるキャンペーンでも、一定期間内に解約すると残りの工事費を請求される場合があります。
光コラボの一般的なプランであれば、オフィス向けで月額5,000〜6,000円程度が目安です。法人専用の高品質なプランや帯域確保型のサービスは、月額数万円程度になることもあります。
契約期間と解約金
多くの光回線には、2年や3年などの契約期間と、期間内に解約した場合の解約金が設定されています。オフィスの移転や事業の拡大の予定がある場合は、契約期間や、移転時に継続して使えるかも確認しておきましょう。
提供エリアと建物の設備
光回線は、オフィスの所在地が提供エリア内か、ビルに光回線の設備が引き込まれているかによって、選べるサービスが変わります。特に独自回線はエリアが限られるため、事前の確認が欠かせません。
テナントビルでは、配線の方式によって最大速度が制限されることや、工事にビル管理会社の許可が必要なこともあります。入居前に、ビル側の設備を確認しておくと安心です。
ひかり電話などの電話サービス
光回線を使った電話サービスを利用する場合は、同時に通話できる数や、使える電話番号の数を確認しましょう。今の電話番号を引き継げるかどうかも、回線を選ぶ際の重要なポイントです。
ビジネスフォンと組み合わせて使う場合は、電話機や主装置との相性も確認が必要です。回線と電話をまとめて相談できる業者に依頼すると、スムーズに進められます。
▼関連記事:ビジネスフォンの選び方|失敗しない機種選定と導入のポイントを徹底解説
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利用目的別の法人向け光回線の選び方
どの光回線が合うかは、会社の規模やインターネットの使い方によって変わります。代表的なケースごとの選び方の目安を紹介します。
少人数の事務所・店舗
社員が数名程度の事務所や、決済端末と予約システムを使う程度の店舗であれば、光コラボの一般的なプランで十分なケースが多くあります。料金の安さと、請求書払いへの対応を中心に比べるとよいでしょう。
ただし、キャッシュレス決済や予約の受付が止まると売上に直結するため、故障時の対応時間は必ず確認しておきましょう。
社員が多く、クラウドやWeb会議をよく使うオフィス
社員が20人以上いて、クラウドサービスやWeb会議を日常的に使うオフィスでは、通信の安定性を重視して選ぶことが大切です。IPv6 IPoEへの対応や、提供エリアであれば混雑の少ない独自回線も候補になります。
大容量のデータを頻繁にやり取りする場合は、最大10Gbpsのプランを検討する価値もあります。あわせて、社内のルーターやLANケーブルが高速通信に対応しているかも確認しましょう。
VPN・サーバー・防犯カメラの遠隔確認を行う会社
複数の拠点をVPNでつなぐ、社内にサーバーを置いて外部から接続する、防犯カメラの映像を外出先から確認するといった使い方をする場合は、固定IPアドレスが使えるプランを選びましょう。
固定IPアドレスを使うと外部からのアクセスがしやすくなる分、不正アクセスへの対策もより重要になります。UTMなどのセキュリティ機器とあわせて検討すると安心です。
▼関連記事:中小企業にUTMは必要?狙われる実態と、国の支援制度を含めた対策の選び方
通信が止まると業務が止まる会社
インターネットが使えないと受注や生産が止まってしまう会社では、回線を2本用意する冗長化も検討しましょう。種類の異なる回線を組み合わせれば、片方に障害が起きても業務を続けられます。
より高い信頼性が必要な場合は、SLAのある法人専用プランや帯域確保型のサービスも選択肢になります。止まったときの損失と、回線にかける費用を比べて判断しましょう。
法人向け光回線の契約から開通までの流れ
法人向け光回線は、申し込みから開通までに数週間から1〜2か月程度かかることがあります。オフィスの開設や移転に合わせる場合は、早めに準備を始めましょう。
申し込みから開通までの流れ
一般的には、次のような流れで進みます。
- 提供エリアと建物の設備を確認する
- 回線とプランを選び、申し込む
- 工事日を調整する(ビルの場合は管理会社の許可を取る)
- 開通工事を行い、光回線の機器を設置する
- ルーターやプロバイダの設定を行い、通信を確認する
3月や9月など、オフィスの移転が集中する時期は、工事の予約が取りにくくなることがあります。開通希望日の2か月前を目安に申し込むと安心です。
申し込みに必要な書類
法人名義で申し込む場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)や、担当者の本人確認書類などが必要になるのが一般的です。個人事業主の場合は、開業届の控えなどを求められることもあります。
必要な書類はサービスによって異なるため、申し込み前に確認しておきましょう。書類の準備に時間がかかると、開通も遅れることがあります。
開通までの通信手段を用意する
新しいオフィスで光回線の開通が間に合わない場合に備えて、モバイルWi-Fiのレンタルやスマートフォンのテザリングなど、一時的な通信手段を用意しておくと安心です。
ただし、モバイル回線は通信量や速度に制限があるため、Web会議や大容量のデータのやり取りには向かない場合があります。あくまで開通までのつなぎと考え、早めの申し込みを心がけましょう。
光回線の乗り換え・見直しのときの注意点
今の光回線からほかのサービスに乗り換える場合は、業務を止めないための注意点があります。
電話番号を引き継げるか確認する
光回線を使ったひかり電話を利用している場合は、乗り換え後も今の電話番号を使えるかを必ず確認しましょう。フレッツ光から光コラボへの乗り換えであれば、多くの場合は番号を引き継げますが、独自回線への乗り換えでは条件が異なることがあります。
電話番号が変わると、取引先への案内や名刺の刷り直しが必要になるため、乗り換えを決める前の確認が欠かせません。
解約金と工事費の残りを確認する
契約期間の途中で解約すると、解約金や、分割払いの工事費の残りを請求されることがあります。乗り換えによる月額料金の削減額と、解約にかかる費用を比べて、乗り換えるタイミングを判断しましょう。
新しい回線が開通してから旧回線を解約する
オフィスの移転と同時に乗り換える場合は、旧オフィスの回線の撤去日と、新オフィスの回線の開通日を別々に管理する必要があります。どちらの手続きも早めに進め、日程を一覧にしておくと、手続きの漏れを防げます。
旧回線を先に解約してしまうと、新しい回線が開通するまでインターネットが使えない期間が生じてしまいます。必ず、新しい回線の開通を確認してから旧回線の解約手続きを行いましょう。
光コラボどうしの乗り換えなど、工事をせずに切り替えられる場合は、切り替えの日時をあらかじめ業者と確認し、業務の少ない時間帯に行うと安心です。
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光回線とあわせて見直したいこと
光回線を選び直すときは、回線だけでなく、社内のネットワーク環境や関連する設備もあわせて見直すと、効果を最大限に引き出せます。
ルーターや社内のWi-Fi環境
高速な光回線を契約しても、ルーターやWi-Fiの機器が古いと、速度を十分に活かせません。社員数や端末の台数に合った業務用のルーターやアクセスポイントを選びましょう。
業務用のルーターには、多くの端末が同時につながっても通信が安定しやすいものや、社員用と来客用のネットワークを分けられるものがあります。来客用のWi-Fiを分けておけば、社内の情報を守ることにもつながります。
Wi-Fiが届きにくい場所がある場合は、アクセスポイントを増やすなど、オフィスのレイアウトに合わせた設計も大切です。
セキュリティ対策
光回線は、社内ネットワークとインターネットをつなぐ入り口です。回線の見直しに合わせて、UTMなどで入り口の対策を強化することも検討しましょう。
特に、固定IPアドレスを使って外部から社内に接続する場合は、セキュリティ対策の重要性が高まります。
▼関連記事:UTMとウイルス対策ソフトの違いは?守る場所と防げる範囲を比べて解説
電話・複合機などのOA機器
光回線を見直すタイミングは、ひかり電話やビジネスフォン、複合機の契約をあわせて見直すよい機会です。通信とOA機器の窓口を1つにまとめれば、管理の手間も減り、トラブル時の対応もスムーズになります。
▼関連記事:OA機器の見積もりの取り方|相場の目安と見積書の見方、費用を抑えるコツ
まとめ
法人向け光回線は、固定IPアドレス、法人専用のサポート、請求書払いへの対応などの点で個人向けと異なります。回線の種類には、フレッツ光、光コラボ、独自回線、帯域確保型・専用線があり、エリアや速度、料金に違いがあります。
比較する際は、通信速度の安定性、固定IPアドレスの要否、サポート体制、料金、契約期間と解約金、提供エリア、電話サービスを確認しましょう。会社の規模や使い方によって最適な回線は変わるため、利用目的を整理してから選ぶことが大切です。
乗り換えの際は、電話番号の引き継ぎや解約金を確認し、新しい回線が開通してから旧回線を解約しましょう。光回線とあわせてルーターやセキュリティ、OA機器も見直せば、業務に合った通信環境を整えられます。
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