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電子黒板の普及率は?学校の整備率91.0%の内訳と数字の正しい読み方を解説

電子黒板がどれくらい普及しているのか。導入を検討する際にも、予算を要求する際にも、この数字は判断の土台になります。

公表されている最新の数値は、公立学校の普通教室で91.0%です。ただし、この数字をそのまま「電子黒板の普及率」として使うと、実態を誤って伝えることになります。集計されているのはプロジェクタと大型ディスプレイを含めた合計だからです。

この記事では、文部科学省の調査結果をもとに、普及率の推移、学校種別と都道府県別の差、そして数字を読むときの注意点を整理しました。企業での導入状況をどう捉えるかについても触れます。

確認したいポイント結論詳細
電子黒板の普及率は何%?普通教室で91.0%令和7年3月1日現在の文部科学省調査による、公立学校の大型提示装置整備率です。
この数字の注意点は?電子黒板単独の数字ではないプロジェクタと大型ディスプレイを含む合計値で、私立学校と企業は対象外です。
どう推移してきた?7年で52.2%から91.0%へGIGAスクール構想の前後で伸びが加速し、近年は緩やかになっています。

この記事でわかること

  • 公立学校における最新の整備率と、その調査の前提
  • 公表値が電子黒板単独の数字ではない理由と、定義の変更
  • 7年間の推移から見える普及の加速と鈍化
  • 学校種別・都道府県別に残っている整備の格差
  • 普及率のデータを予算要求などに活かす方法
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最新の普及率は普通教室で91.0%

令和6年度調査の結果

文部科学省が実施している「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、公立学校の普通教室における大型提示装置の整備率は91.0%でした。調査基準日は令和7年3月1日現在です。

前年度の89.6%から1.4ポイント上昇しました。普通教室10室のうち9室に大型提示装置が設置されているという水準です。

この調査は毎年10月頃に確定値が公表されます。速報値が夏に出ることもあるため、資料に引用する際はどちらの数値かを確認しておくと、後から数字が変わる事態を避けられます。

調査の対象と規模

この調査は毎年3月1日を基準日として実施される悉皆調査です。対象は全国の公立学校で、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校が含まれます。

令和6年度調査における学校数は32,048校、普通教室数は488,127室でした。全国の公立学校をほぼ網羅した数字であり、統計としての信頼性は高いといえます。

なお、令和6年能登半島地震の影響で回答できなかった石川県輪島市の12校は除かれています。

整備率の算出方法

整備率は、大型提示装置を設置している普通教室の総数を、普通教室の総数で割って算出されます。可搬型の機器を複数の教室で使い回している場合は二重に数えず、主に使用している教室でカウントする決まりです。

つまり、1台を複数の教室で共用している場合、他の教室は未整備として扱われます。実際に授業で使える教室の割合に近い数字といえます。

なお、対象は普通教室に限られます。理科室や音楽室といった特別教室、体育館や多目的室は含まれていないため、学校全体の設置台数とは一致しません。

参照:文部科学省「令和6年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」

関連記事:電子黒板の価格相場はいくら?サイズ別の目安と本体以外にかかる費用も解説

この数字を使うときの注意点

公表値は「大型提示装置」の整備率

ここが最も重要な点です。91.0%という数字は電子黒板だけの整備率ではありません。調査の注記では、大型提示装置とはプロジェクタ、大型ディスプレイ、電子黒板を指すと明記されています。

つまり、教室に古いプロジェクタが1台あるだけでも整備済みとして数えられます。タッチ操作や書き込みができる電子黒板がどれだけ入っているかは、この数字からは読み取れません。

「電子黒板の普及率は91%」と紹介している記事を見かけますが、正確には大型提示装置の整備率です。資料や稟議書で引用する際は、この点を明記しておくと後の指摘を避けられます。

令和7年3月から定義が変わっている

もう一点、見落とされやすい変更があります。平成31年3月から令和6年3月までの調査では、大型提示装置は「プロジェクタ、デジタルテレビ、電子黒板」と定義されていました。

令和7年3月の調査からは「プロジェクタ、大型ディスプレイ、電子黒板」に変わっています。デジタルテレビが大型ディスプレイという表現に置き換わった形です。

時系列で比較する際は、この定義変更を頭に置いておく必要があります。

私立学校と企業は対象外

調査対象は公立学校に限られています。私立の小中高、大学、専修学校は含まれません。学習塾やスクールも当然対象外です。

企業のオフィスや会議室についても、この調査は一切カバーしていません。「電子黒板の普及率」を企業向けの文脈で語る際に、この数字を使うのは適切ではありません。

関連記事:電子黒板の比較で見るべき7つの軸|タイプ別・メーカー別の違いと選び方

普及率の推移|7年で52.2%から91.0%へ

年度別の数値

整備率の推移は次のとおりです。平成31年3月が52.2%、令和2年3月が60.0%、令和3年3月が71.6%、令和4年3月が83.6%、令和5年3月が88.6%、令和6年3月が89.6%、そして令和7年3月が91.0%です。

7年間で38.8ポイント上昇しました。教室に大型の表示装置があることが当たり前になった期間といえます。

半数程度だった状態から9割超まで動いたことになります。これほど短期間で環境が変わった設備は、学校のICT機器のなかでも端末を除けば他に例がありません。

GIGAスクール構想の前後で伸びが加速

特に伸びが大きかったのは令和2年3月から令和4年3月にかけての2年間で、60.0%から83.6%まで23.6ポイント上がりました。GIGAスクール構想による整備が集中した時期と重なります。

1人1台端末が配られたことで、教室全体に同じ画面を映して共有する必要性が高まりました。端末の整備が表示装置の整備を引っ張ったという関係が読み取れます。

直近は伸びが鈍化している

一方、令和5年3月以降の伸びは緩やかです。88.6%、89.6%、91.0%と、年間1ポイント台の上昇にとどまっています。

整備が一巡した地域では、新規設置よりも老朽化した機器の更新が課題に移っています。第1期に導入された機器が耐用年数を迎える時期と重なっており、今後は更新需要が中心になると見込まれます。

関連記事:電子黒板の耐用年数は何年?法定耐用年数と製品寿命の違い、買い替え時期を解説

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学校種別に見た普及率

小中高はいずれも9割を超えている

学校種別の整備率は、小学校が93.3%、中学校が91.5%、義務教育学校が92.0%、高等学校が93.1%、中等教育学校が97.4%でした。

小学校と高等学校が9割台前半で並び、中等教育学校が最も高いという結果です。学校数が少ない学校種では数値が振れやすい点は考慮が必要ですが、いずれも高い水準に達しています。

学校数で見ると小学校が18,271校と最も多く、次いで中学校8,945校、高等学校3,439校です。全体平均の91.0%は、実質的に小中学校の状況を強く反映した数字といえます。

特別支援学校は64.2%にとどまる

大きく異なるのが特別支援学校です。整備率は64.2%で、全体平均の91.0%を26.8ポイント下回っています。

他の学校種が9割を超えるなかで、ここだけ6割台という状況です。特別支援学校の普通教室数は30,618室あり、決して小さな規模ではありません。

差が生まれる背景

特別支援学校では、少人数の学級編成により普通教室の数が児童生徒数に対して多くなります。同じ台数を整備しても、教室数が多い分だけ整備率は下がりやすい構造です。

また、児童生徒の障害の状態に応じて必要な機器が異なるため、一律の整備がなじまない面もあります。数字の低さがそのまま遅れを意味するとは限らない点は押さえておくべきでしょう。

とはいえ、視覚的な情報提示が学習の支えになる場面は多く、整備の余地が残っているのも事実です。台数だけでなく、どの教室にどの機能が必要かを整理したうえでの計画が求められます。

都道府県別に残る格差

上位と下位の顔ぶれ

最も整備率が高いのは愛媛県の98.5%です。次いで熊本県97.8%、佐賀県96.6%、和歌山県96.4%、三重県と滋賀県が95.9%と続きます。

一方、下位は岩手県が73.4%で最も低く、北海道83.5%、高知県84.6%という順です。上位と下位で25.1ポイントの開きがあります。

格差は縮まりつつある

前年度の調査では、平均89.6%に対して最高98.2%、最低71.8%でした。開きは26.4ポイントです。今年度は25.1ポイントに縮まっており、わずかながら差は縮小しています。

ただし、最低の県が7割台にとどまっている状況は変わっていません。同じ国の公立学校でありながら、教室の環境には無視できない差が残っています。

格差が残る背景

先に触れたとおり、大型提示装置の整備は国庫補助ではなく地方財政措置によって行われます。使途が特定されない財源であるため、実際に整備するかどうかは自治体の判断です。

財政状況、教育委員会の方針、学校数の多さや地理的条件によって、進み方に差が出ます。全国平均だけを見て自校の状況を判断すると、実感と合わないことがあるのはこのためです。

あわせて確認したい関連指標

端末と通信環境の整備状況

同じ調査では、児童生徒1人当たりの学習者用コンピュータ台数は1.1台となっています。1人1台の環境はすでに行き渡った状態です。

普通教室の無線LAN整備率は97.1%、LTEなどの移動通信システムを含めると99.3%に達します。統合型校務支援システムの整備率も94.8%でした。

表示装置だけが遅れているわけではなく、学校のICT環境は全体として整ってきているというのが全体像です。

教員のICT活用指導力

調査では教員の自己評価による指導力も測定されています。教材研究や校務にICTを活用する能力は90.7%、授業にICTを活用して指導する能力は82.2%でした。

児童生徒のICT活用を指導する能力は83.1%、情報活用の基盤となる知識や態度の指導は89.2%です。いずれも前年度から1〜2ポイント上昇しています。

研修の受講状況も調査されており、令和6年度中に関連する研修を受講した教員の割合は73.5%、1人当たりの平均受講回数は2.3回でした。研修の実施主体は学校が6割以上を占めています。

整備率と活用度は別の話

ここで注意したいのが、機器があることと使われていることは違うという点です。整備率が9割を超えても、日常的に活用されているかどうかは別の指標で見る必要があります。

授業での活用能力が82.2%にとどまっているという数字は、機器の整備が先行し、活用が追いついている途中であることを示しています。導入を検討する際は、研修や運用支援まで含めて計画を立てるべきです。

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企業での普及状況をどう捉えるか

公的な統計は存在しない

企業のオフィスにおける電子黒板の普及率について、国が実施している統計はありません。文部科学省の調査は学校だけを対象としており、企業向けの類似調査も見当たりません。

「企業の普及率は何%」という数字を見かけたら、出典を確認してください。民間の任意調査であれば、対象企業の規模や業種によって結果は大きく変わります。

市場規模の推計から動向を読む

代わりの手がかりになるのが市場規模の推計です。調査会社によるインタラクティブフラットパネル市場のレポートでは、世界市場が2025年に62億6,000万米ドル、2026年に68億2,000万米ドルと見込まれています。

2032年までの年平均成長率は8.95%と予測されており、教育分野に加えて企業のハイブリッドワーク環境での導入が成長を支えているという分析が示されています。

ただしこれは世界市場の数字です。国内企業の導入状況を直接示すものではない点には注意してください。

自社の環境は個別に確認する

結局のところ、企業が導入を検討する際に他社の普及率はあまり役に立ちません。会議の進め方、拠点間のやり取りの頻度、資料の扱い方によって必要性はまったく変わるためです。

普及率を根拠に導入を判断するより、自社の会議で何に時間がかかっているかを見るほうが確実です。

参考になるとすれば、取引先や同業他社の会議室を訪問したときの印象でしょう。商談の場でどのような設備が使われているかは、自社の環境を客観的に見直すきっかけになります。

普及率のデータをどう使うか

予算要求の根拠として使う

学校や自治体で整備を要求する場合、全国平均と自校・自治体の数値を並べて示すのが有効です。91.0%という全国平均に対して自校がどの位置にいるかは、説得力のある材料になります。

都道府県別の順位まで示せば、地域内での相対的な位置も伝わります。文部科学省の公表資料には47都道府県の一覧が掲載されているため、そのまま引用できます。

数字の定義を正しく伝える

繰り返しになりますが、公表値は大型提示装置の整備率です。資料に載せる際は「プロジェクタ、大型ディスプレイ、電子黒板を含む」と注記してください。

電子黒板そのものの整備を求める場合、この数字だけでは根拠として弱いことがあります。既存機器の内訳を自校で調べ、タッチ操作が可能な機器が何台あるかを示すと説得力が増します。

次に来るのは更新需要

整備率が9割を超えたということは、これから先の課題が新規設置から更新に移るということです。第1期に導入された機器は、すでに耐用年数の目安を過ぎ始めています。

表示の劣化やタッチの反応低下、OSの更新終了といった症状が出ている機器は、故障してから動くと業務や授業が止まります。計画的な更新の検討を早めに始めてください。

まとめ|数字の中身を確認してから使う

公立学校の普通教室における大型提示装置の整備率は、令和7年3月1日現在で91.0%です。7年前の52.2%から大きく伸び、教室に表示装置があることは標準になりました。

ただしこの数字は、プロジェクタと大型ディスプレイを含んだ合計値であり、電子黒板単独の普及率ではありません。私立学校と企業も対象外です。引用する際は前提を明記してください。

学校種別では特別支援学校が64.2%と低く、都道府県別では最高98.5%から最低73.4%まで25ポイントの開きがあります。全国平均だけを見ていると、こうした差は見えません。

そして整備が一巡したいま、課題は新規設置から更新へと移っています。整備率が高い地域ほど、老朽化した機器を抱えている可能性が高いということでもあります。自校や自社の機器がいつ導入されたものかを、この機会に確認してみてください。

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