複合機の耐用年数は何年?法定耐用年数と実際の寿命の違い・減価償却の計算方法・買い替え判断の目安を解説
目次
- 複合機の法定耐用年数は5年|基礎知識を解説
- 法定耐用年数とは何か
- 法定耐用年数 ≠ 寿命
- リースの場合は耐用年数を気にする必要がない
- 複合機の実際の寿命はどれくらい?
- 耐用枚数は約300万枚
- 寿命を左右する要因
- 補修部品の保有期限が実質的な寿命になることも
- 中古複合機の耐用年数の計算方法
- 購入価格が新品価格の50%超の場合
- 購入価格が新品価格の50%以下の場合
- 複合機の減価償却の計算方法
- 定額法(毎年同額を償却)
- 定率法(初期に多く償却)
- 取得価額が30万円未満の場合の特例
- 法定耐用年数とリース期間の関係
- 複合機の買い替え時期を判断する5つのサイン
- 1. 故障やトラブルが増えてきた
- 2. 累計印刷枚数が300万枚に近づいている
- 3. メーカーの補修部品保有期限が迫っている
- 4. カウンター料金が現在の相場より高い
- 5. 最新のセキュリティ機能やクラウド連携が必要になった
- まとめ|複合機の耐用年数を正しく理解してコストと入れ替えを最適化しましょう
「複合機の耐用年数は何年?」「5年で使えなくなるの?」——複合機の耐用年数について調べると「5年」という数字がよく出てきますが、これは税務上の「法定耐用年数」であり、複合機の物理的な「寿命」とは異なります。この違いを正しく理解していないと、まだ使える複合機を早めに手放してしまったり、逆に寿命を過ぎた複合機を使い続けて故障コストがかさんだりする原因になります。本記事では、複合機の法定耐用年数と実際の寿命の違い、中古の場合の計算方法、減価償却の基本、買い替え判断の目安まで、経理担当者や企業担当者が知っておくべき情報をわかりやすく解説します。
複合機の法定耐用年数は5年|基礎知識を解説

複合機の法定耐用年数は「5年」です。これは「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められた税務上のルールであり、会計処理上「5年かけて資産価値をゼロにしていく」ための期間です。
法定耐用年数とは何か
法定耐用年数とは、国が定めた固定資産の使用可能期間のことです。企業が設備を購入した場合、その費用を一括で経費にするのではなく、法定耐用年数にわたって分割して経費計上(減価償却)するための基準となります。複合機は「器具及び備品」の「事務機器及び通信機器」に分類され、耐用年数は5年と定められています。
法定耐用年数 ≠ 寿命
重要なのは、法定耐用年数5年は「5年で使えなくなる」という意味ではないということです。法定耐用年数はあくまで税務上の計算期間であり、適切にメンテナンスを行えば5年を超えても問題なく使い続けられるケースは多くあります。逆に、使い方次第では5年未満で故障が頻発することもあります。
リースの場合は耐用年数を気にする必要がない
リース契約で複合機を導入している場合は、減価償却の処理はリース会社が行うため、企業側が法定耐用年数を意識する必要はほぼありません。リース料金は全額経費計上でき、固定資産税も不要です。耐用年数と減価償却の知識が必要になるのは、主に複合機を購入(買取り)した場合です。
複合機の実際の寿命はどれくらい?
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 法定耐用年数(税務上) | 5年 | 会計処理上の期間物理的な寿命ではない |
| 設計上の耐用枚数 | 約300万枚 | メーカーが想定する累計印刷枚数の上限目安 |
| 実際の使用年数(一般的な目安) | 5〜7年 | 適切なメンテナンスが前提印刷枚数や環境で変動 |
| メーカーの補修部品保有期限 | 製造終了後 7〜8年 | 部品切れ後は修理不可になるリスクがある |
耐用枚数は約300万枚
メーカーが設計上想定している複合機の耐用枚数は、一般的に約300万枚(モノクロ換算)とされています。たとえば月間5,000枚印刷する企業であれば約50年分の耐用枚数があることになりますが、月間5万枚印刷する環境では約5年で上限に達します。つまり、実際の寿命は印刷枚数によって大きく変わります。
寿命を左右する要因
複合機の寿命は、月間印刷枚数のほかにも、設置環境(温度・湿度・ほこりの量)、定期メンテナンスの実施状況、カラー印刷の比率(カラー印刷の方が部品の劣化が早い)によって変動します。空調が効いた清潔なオフィスで適切にメンテナンスされている複合機は、7年以上安定して稼働するケースもあります。
補修部品の保有期限が実質的な寿命になることも
メーカーの補修部品の保有期限は、製造終了から7〜8年程度です。この期限を過ぎると、故障しても必要な部品が入手できず、修理不可能になるリスクがあります。複合機自体がまだ動いていても、部品がなくなれば使い続けることはできません。この意味では、補修部品の保有期限が複合機の「実質的な寿命の上限」ともいえます。
中古複合機の耐用年数の計算方法

中古で複合機を購入した場合、法定耐用年数の計算方法が新品とは異なります。購入価格が新品価格の50%を超えるかどうかで扱いが変わります。
購入価格が新品価格の50%超の場合
中古複合機の購入価格が新品価格の50%を超える場合は、新品と同じく法定耐用年数5年が適用されます。
購入価格が新品価格の50%以下の場合
購入価格が新品価格の50%以下の場合は、以下の2つのケースで計算方法が変わります。
ケース1:法定耐用年数をすでに超えている場合
法定耐用年数(5年)× 20% = 1年 → 2年未満のため「2年」が耐用年数になります。たとえば、製造から6年以上経過した中古複合機は、耐用年数2年で減価償却します。
ケース2:法定耐用年数の途中の場合
(法定耐用年数 – 経過年数)+(経過年数 × 20%)= 耐用年数(1年未満切り捨て)
たとえば、製造から3年経過した中古複合機の場合:(5年 – 3年)+(3年 × 20%)= 2年 + 0.6年 = 2.6年 → 切り捨てて「2年」となります。
| 経過年数 | 中古の耐用年数(50%以下で購入した場合) | 計算式 |
|---|---|---|
| 1年 | 4年 | (5-1)+(1×0.2)=4.2→4年 |
| 2年 | 3年 | (5-2)+(2×0.2)=3.4→3年 |
| 3年 | 2年 | (5-3)+(3×0.2)=2.6→2年 |
| 4年 | 2年 | (5-4)+(4×0.2)=1.8→2年(最低2年) |
| 5年以上 | 2年 | 5×0.2=1→2年(最低2年) |
複合機の減価償却の計算方法
複合機を購入した場合の減価償却には、「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。
定額法(毎年同額を償却)
取得価額を耐用年数で均等に割り、毎年同じ金額を経費計上する方法です。計算がシンプルで予算計画が立てやすいのが特徴です。個人事業主は原則として定額法を使用します。
計算例:100万円の複合機を定額法で償却する場合
100万円 × 償却率0.200 = 毎年20万円を5年間に渡って経費計上(最終年は備忘価額1円を残すため199,999円)
定率法(初期に多く償却)
未償却残高に一定の償却率を掛けて計算する方法で、初年度に最も多く償却し、年を追うごとに償却額が減っていきます。導入初年度に大きな経費を計上したい場合に有利です。法人は届出がなければ定率法が適用されます。
計算例:100万円の複合機を定率法で償却する場合(償却率0.400)
1年目:100万円 × 0.400 = 40万円、2年目:60万円 × 0.400 = 24万円、3年目:36万円 × 0.400 = 14.4万円…というように、年々減少していきます。
| 比較項目 | 定額法 | 定率法 |
|---|---|---|
| 償却パターン | 毎年同額 | 初期に多く、年々減少 |
| メリット | 計算がシンプル予算が立てやすい | 導入初年度に大きな経費を計上できる |
| 適用 | 個人事業主は原則定額法法人も届出で選択可 | 法人は届出がなければ原則定率法 |
取得価額が30万円未満の場合の特例
青色申告をしている中小企業者等は、取得価額が30万円未満の減価償却資産を全額その年度の損金に算入できる「少額減価償却資産の特例」が利用できます。たとえば28万円の中古複合機を購入した場合、5年かけて償却する必要はなく、購入年度に一括で経費計上が可能です(年間合計300万円が限度額)。
法定耐用年数とリース期間の関係
リース契約の期間は、法定耐用年数をもとに税法上の範囲が定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法定耐用年数 | 5年 |
| リース期間の下限 | 耐用年数×70% = 3.5年(実務上は3年が最短) |
| リース期間の上限 | 耐用年数×120% = 6年(実務上の基本上限) |
| 最も選ばれるリース期間 | 5年(法定耐用年数と一致、会計処理しやすい) |
リース契約であれば、リース料金を全額経費計上できるため、減価償却の計算は不要です。経理処理の簡便さを重視するなら、購入よりもリース契約の方がメリットが大きいといえます。
複合機の買い替え時期を判断する5つのサイン

1. 故障やトラブルが増えてきた
紙詰まりの頻発、印刷のかすれやにじみ、異音の発生、トナー漏れなどが増えてきたら、部品の経年劣化が進んでいるサインです。修理で延命するより、新しい機種に入れ替えた方がコストパフォーマンスが良い場合があります。
2. 累計印刷枚数が300万枚に近づいている
設計上の耐用枚数である約300万枚に近づくと、故障リスクが大幅に高まります。累計印刷枚数は複合機のカウンター画面で確認できますので、定期的にチェックしておきましょう。
3. メーカーの補修部品保有期限が迫っている
製造終了から7〜8年が経過すると、メーカーの補修部品が枯渇するリスクがあります。部品がなくなれば故障時に修理ができなくなるため、保有期限が近づいている場合は計画的な入れ替えを検討しましょう。
4. カウンター料金が現在の相場より高い
5〜7年前に契約したカウンター料金は、現在の相場より割高になっている可能性があります。入れ替えのタイミングでカウンター料金を見直すことで、月々のランニングコストを大幅に削減できるケースがあります。
5. 最新のセキュリティ機能やクラウド連携が必要になった
業務のDX化やセキュリティ強化を進めたい場合、5年以上前の複合機では対応できない機能があります。ICカード認証印刷、クラウド連携、AI自動分類などの最新機能が必要であれば、入れ替えを検討するタイミングです。
まとめ|複合機の耐用年数を正しく理解してコストと入れ替えを最適化しましょう
複合機の法定耐用年数は5年ですが、これは税務上の減価償却期間であり、物理的な寿命とは異なります。適切にメンテナンスされた複合機は5〜7年程度、場合によってはそれ以上使い続けることが可能です。一方で、累計印刷枚数300万枚や補修部品の保有期限といった「実質的な寿命の上限」も存在するため、故障の増加やコストの変化を見極めて最適なタイミングで入れ替えることが大切です。
リース契約であれば減価償却の処理は不要で、5年ごとに最新機種に入れ替えることで耐用年数を意識せず安定した運用ができます。購入した場合は、定額法・定率法の選択や少額減価償却資産の特例など、自社の税務状況に合った方法で減価償却を行いましょう。
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