OA機器に使える助成金・補助金とは?対象になる制度と申請の流れを解説
複合機やビジネスフォンを入れ替えるとき、「助成金は使えないか」と考える方は多いはずです。ただ、OA機器を買うためだけの制度というものは存在しません。
使えるのは、業務のデジタル化や賃上げ、人手不足の解消といった目的を掲げた制度です。その目的に沿う形で導入する場合に限り、機器の費用が対象経費として認められます。
この記事では、2026年9月時点で申請できる主な制度を整理し、OA機器がどこまで対象になるのか、申請でつまずきやすい点はどこかをまとめました。制度の内容は毎年見直されるため、実際に申請する際は必ず公式サイトの最新の公募要領を確認してください。
目次
- OA機器の導入に助成金は使えるのか
- 助成金と補助金は制度の性格が違う
- OA機器単体では対象になりにくい
- 「使えない」ではなく「条件付きで使える」
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
- 2026年度から名称が変わった
- 複合機はインボイス枠のハードウェアとして対象になる
- 補助率と上限額
- 申請はIT導入支援事業者と組んで行う
- 業務改善助成金(厚生労働省)
- 賃上げと設備投資をセットで行う制度
- 令和8年度の受付は2026年9月1日に開始
- 助成額と助成率
- OA機器が対象になる場合とならない場合
- 中小企業省力化投資補助金
- カタログ注文型と一般型がある
- OA機器が対象になりにくい理由
- 小規模事業者持続化補助金
- 販路開拓を支援する制度
- 汎用性の高い機器は対象外と明記されている
- 自治体独自の補助金という選択肢
- 市区町村・都道府県の制度を確認する
- 制度の探し方
- 申請で失敗しやすい5つのポイント
- 交付決定前に発注すると対象外になる
- 単なる買い替えは認められない
- 補助金は後払いになる
- GビズIDの取得に時間がかかる
- 不審な勧誘に注意する
- 申請から受給までの流れ
- 事前準備
- 交付申請から交付決定まで
- 導入・実績報告・受給
- まとめ|制度ありきではなく、目的から逆算する
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| OA機器に助成金は使える? | 単体では難しく条件付きで可能 | 機器だけの購入は対象外となる制度が多く、ソフトや賃上げとセットにすると対象になります。 |
| IT系の補助金は何が使える? | デジタル化・AI導入補助金 | 2026年度に名称が変わりました。インボイス枠ならソフトとセットで複合機も対象になります。 |
| 厚生労働省の助成金は使える? | 業務改善助成金が該当する | 賃上げと設備投資をセットで行う制度で、令和8年度は9月1日に受付が始まりました。 |
この記事でわかること
- 助成金と補助金の違いと、OA機器が対象になる条件
- デジタル化・AI導入補助金で複合機が対象になる枠と上限額
- 業務改善助成金の要件と、令和8年度の申請スケジュール
- 省力化投資補助金・持続化補助金でOA機器が対象になりにくい理由
- 申請で失敗しやすい5つの落とし穴と、入金までの流れ
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OA機器の導入に助成金は使えるのか
助成金と補助金は制度の性格が違う
よく混同されますが、この2つは所管も仕組みも異なります。助成金は主に厚生労働省が所管し、雇用や賃金に関する要件を満たせば原則として受け取れる制度です。
一方の補助金は経済産業省や中小企業庁が中心で、予算の枠内で審査を行い、採択された事業者だけが受け取れます。採択率が5割前後という制度も珍しくありません。
OA機器の導入で候補に挙がるのは、厚生労働省の業務改善助成金と、経済産業省系の各種補助金です。どちらを狙うかで準備するものが変わります。
OA機器単体では対象になりにくい
押さえておきたいのは、複合機やプリンターを買うこと自体を支援する制度は基本的にないという点です。国の制度はいずれも、デジタル化、賃上げ、人手不足の解消といった政策目的を達成する手段として設備を位置づけています。
そのため「古くなったので新しくしたい」という理由だけでは通りません。多くの公募要領には、通常の事業活動のための費用や単なる取替え更新は対象外と明記されています。
汎用性が高く目的外に使える機器は除外する、という考え方も広く採られており、パソコンなどが名指しで対象外とされている制度もあります。
「使えない」ではなく「条件付きで使える」
とはいえ、まったく道がないわけではありません。業務をどう変えるのか、その結果どんな成果が出るのかを説明できれば、機器の費用が対象経費に含まれる制度は複数あります。
たとえば、紙の書類をスキャンして電子化し、会計ソフトと連携させる。あるいは、複合機の入れ替えで作業時間を減らし、その分を賃上げの原資にする。機器を目的ではなく手段として位置づけられるかどうかが分岐点です。
関連記事:OA機器の保守契約とは?種類別の料金相場と契約前に確認すべき点を解説
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
2026年度から名称が変わった
長く「IT導入補助金」と呼ばれてきた制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。所管は経済産業省で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施しています。
申請枠は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。2026年度からは生成AIを含むツールも対象として明確に位置づけられました。
複合機はインボイス枠のハードウェアとして対象になる
OA機器を検討している事業者にとって重要なのが、インボイス枠(インボイス対応類型)です。この枠では、ソフトウェアに加えてハードウェアも補助対象になります。
対象となるハードウェアには、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、そしてPOSレジ・モバイルPOSレジ・券売機が挙げられています。複合機は前者の区分に入ります。
ただし条件があります。ハードウェアはソフトウェアの使用に資するものであることが求められ、ハードウェアのみの申請はできません。会計や受発注、決済の機能を持つソフトウェアとセットで導入する形が前提です。
補助率と上限額
ソフトウェア部分は、補助額50万円以下であれば中小企業が3/4以内、小規模事業者が4/5以内の補助率です。50万円を超えて350万円以下の部分については2/3以内となります。
ハードウェアは補助率が下がります。PC・タブレット等の区分は補助率1/2以内で上限10万円、レジ・券売機等の区分は補助率1/2以内で上限20万円です。複合機で見込める補助額は最大でも10万円程度という点は、期待値の調整として知っておいてください。
2026年度の交付申請は3月30日から始まっており、募集回ごとに締切が設定されています。
申請はIT導入支援事業者と組んで行う
この制度は、事業者が単独で申請するものではありません。事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーを組み、共同で交付申請を行う仕組みです。
導入したいソフトウェアを扱う支援事業者を探すところから始まります。申請にはGビズIDプライムのアカウントも必要になるため、余裕をもって準備してください。
参照:デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業基盤整備機構)
関連記事:OA機器の勘定科目と仕訳|購入・リース・レンタル別に機器ごとの経理処理を解説
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業務改善助成金(厚生労働省)
賃上げと設備投資をセットで行う制度
厚生労働省が所管する業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する制度です。
重要なのは、賃上げと設備投資の両方が必要だという点です。どちらか一方だけでは対象になりません。また、従業員がいない事業者は対象外となります。
設備投資の対象は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」とされており、業種に応じてさまざまな設備が想定されています。
令和8年度の受付は2026年9月1日に開始
令和8年度分の交付申請は、2026年9月1日に受付が始まりました。申請期限は、申請する事業場の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または2026年11月30日のいずれか早い日です。
最低賃金の発効が早い地域ほど、申請できる期間が短くなります。自社の所在地の発効日を確認したうえで、逆算して動く必要があります。
なお賃上げコースは50円・70円・90円の3つに再編されました。事業完了期限は交付決定の属する年度の1月31日で、納品も支払いも賃金引上げもこの日までに済ませる必要があります。
助成額と助成率
助成上限額は、賃金の引上げ額と引き上げる労働者数によって変わり、最大で600万円です。実際の助成額は、設備投資にかかった費用に助成率を掛けた金額と上限額を比べ、安いほうが適用されます。
助成率は引上げ前の事業場内最低賃金によって区分され、1,050円が基準になっています。事業場内最低賃金が1,050円未満の事業場は特例事業者として上限額の拡大を受けられます。
OA機器が対象になる場合とならない場合
複合機の導入も、それによって作業時間が減り労働能率が上がると説明できれば対象になり得ます。逆に、単なる買い替えや、事業場で使うことが確認できない機器は認められません。
パソコンやタブレットなどの端末と周辺機器は通常は対象外ですが、物価高騰等要件に該当する特例事業者に限り、これらも助成対象経費に含められます。直近6か月平均の利益率が前年同期比で3ポイント以上低下している事業者が該当します。
なお、厚生労働省から委託を受けたと装って申請を勧誘する事業者がいるとの注意喚起も出ています。国や労働局が特定の事業者に勧誘を委託することはありません。
関連記事:OA機器の機種はどう選ぶ?種類別の特徴と印刷枚数から決める選び方を解説
中小企業省力化投資補助金
カタログ注文型と一般型がある
人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットを活用した省力化設備を導入する費用を補助する制度です。経済産業省・中小企業庁が所管し、中小機構が実施しています。
あらかじめ登録された製品から選ぶカタログ注文型と、自社の現場に合わせて設備やシステムを組む一般型の2種類があります。カタログ注文型は回次のない随時受付、一般型は公募回ごとの申請です。
一般型は補助上限が最大1億円と大きい一方、事業計画の審査があり難易度は高くなります。
OA機器が対象になりにくい理由
この制度が想定しているのは、配膳ロボットや自動外観検査装置のように、人の作業そのものを機械に置き換える設備です。汎用の事務機器である複合機は、この趣旨から外れます。
カタログ注文型ではカタログに掲載された製品しか選べず、一般型でも省力化の効果を数値で示す必要があります。複合機の入れ替えだけで申請するのは現実的ではありません。
ただし、書類処理の自動化システムの一部として位置づける、といった組み立て方であれば検討の余地は残ります。
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小規模事業者持続化補助金
販路開拓を支援する制度
商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、その計画にもとづく販路開拓や業務効率化の取組を支援する制度です。従業員数が商業・サービス業で5人以下、製造業その他で20人以下の小規模事業者が対象になります。
一般型・通常枠の補助上限は50万円、補助率は2/3です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を満たすと最大250万円まで拡大します。
申請にはGビズIDプライムに加え、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書が必要です。この書類の発行締切は申請締切より前に設定されているため、早めの相談が欠かせません。
汎用性の高い機器は対象外と明記されている
補助対象経費には機械装置等費が含まれますが、ガイドブックには汎用性が高く目的外使用になりうるもの、たとえばパソコン等は補助対象外と明記されています。複合機も同様に扱われる可能性が高いと考えておくべきです。
加えて、通常の事業活動のための費用や単なる取替え更新の機械装置等の購入も対象外です。単価50万円以上の機械装置は処分制限財産に該当し、事業終了後も一定期間は自由に処分できません。
この制度でOA機器を狙うより、業務用ソフトウェアやウェブサイト関連の経費で申請し、機器は自己資金で用意する組み立てのほうが現実的です。
自治体独自の補助金という選択肢
市区町村・都道府県の制度を確認する
国の制度ばかりが注目されますが、都道府県や市区町村が独自に設けている補助金も見逃せません。中小企業のIT化支援、設備投資支援、事業承継支援といった名目で用意されています。
国の制度に比べて競合が少なく、対象経費の範囲が柔軟な場合もあります。補助額は数十万円規模が中心ですが、申請の手間を考えると効率がよいこともあります。
制度の探し方
まずは所在地の自治体サイトで「補助金」「中小企業支援」といった項目を確認します。中小企業庁が運営するミラサポplusでも、国と自治体の支援制度を横断して探せます。
商工会議所や商工会、よろず支援拠点に相談する方法も有効です。地域の制度に詳しく、申請書類の作成についても助言を受けられます。
年度替わりに内容が変わることが多いため、前年度の情報をそのまま信じないよう注意してください。
申請で失敗しやすい5つのポイント
交付決定前に発注すると対象外になる
最も多い失敗がこれです。ほとんどの制度で、交付決定を受ける前に発注・契約・購入したものは補助対象になりません。
「先に機器を入れて、あとから申請する」という進め方は通用しないと考えてください。申請を検討しているなら、契約書にサインする前に制度の要件を確認するのが鉄則です。
単なる買い替えは認められない
古くなったから新しくする、という理由だけでは審査を通りません。導入によって何がどう変わるのかを、できれば数値で示す必要があります。
作業時間が月何時間減るのか、どの工程がなくなるのか。現状の課題と導入後の姿を具体的に書けるかどうかで結果が変わります。
補助金は後払いになる
採択されても、その場でお金が入るわけではありません。いったん全額を自社で支払い、実績報告を提出して確定検査を受けたのちに入金されます。
入金まで数か月かかることも珍しくないため、資金繰りの計画は補助金なしで組んでおく必要があります。リースを併用する場合は、リース物件が対象になるかどうかも制度ごとに異なるため確認してください。
GビズIDの取得に時間がかかる
国の補助金の多くは、GビズIDプライムというアカウントを使って電子申請します。このアカウントの発行には2〜3週間程度かかることがあります。
締切間際に気づいて間に合わなかった、という事例は少なくありません。申請を考え始めた時点で取得手続きを進めておくと安心です。
不審な勧誘に注意する
助成金を受け取れると持ちかけ、高額な手数料や不要な設備の購入を求める業者が存在します。厚生労働省も、国や労働局が特定の事業者に勧誘を委託することはないと注意を呼びかけています。
不正受給は処罰の対象となり、事業者名が公表される可能性もあります。不明な点は、制度の公式窓口や商工会議所など公的な相談先に確認してください。
| OA機器の導入・入れ替えのご相談を承ります 補助金を使うかどうかにかかわらず、機器の選定や見積もりの比較はご相談いただけます。無理に導入をおすすめすることはありません。 お問い合わせはこちらから。 |
申請から受給までの流れ
事前準備
最初に行うのは、自社が使えそうな制度の絞り込みです。従業員の有無、賃上げの余地、導入したい設備の性格によって、候補は自然に絞られます。
並行してGビズIDプライムを取得し、決算書や登記事項証明書といった基本書類をそろえておきます。この段階でどれだけ準備できるかが、締切直前の負担を大きく左右します。
交付申請から交付決定まで
事業計画を作成し、必要書類とともに申請します。制度によっては、IT導入支援事業者や商工会議所など第三者の関与が必須です。
審査期間は制度によって幅がありますが、申請から交付決定まで1〜3か月程度を見込んでおくのが一般的です。この間は発注してはいけません。
導入・実績報告・受給
交付決定を受けたら、計画どおりに発注し、納品と支払いを済ませます。支払いは原則として銀行振込とされている制度が多く、現金払いは対象外になることがあります。
導入が完了したら実績報告書を提出し、確定検査を経て補助金額が確定します。その後、請求手続きを行って入金となります。
申請の検討開始から入金まで、半年から1年近くかかることもあります。機器の導入時期に制約がある場合は、補助金を待たずに進める判断も必要です。
まとめ|制度ありきではなく、目的から逆算する
OA機器の導入に使える制度は存在しますが、機器の購入そのものを支援するものではありません。デジタル化、賃上げ、人手不足の解消といった目的に沿う形でなければ対象になりません。
2026年9月時点で現実的な候補は、ソフトウェアとセットで複合機を申請できるデジタル化・AI導入補助金のインボイス枠と、賃上げとセットで設備投資を行う業務改善助成金です。加えて、所在地の自治体独自の制度も確認する価値があります。
いずれの制度でも、交付決定前の発注は対象外、単なる買い替えは不可、そして後払いという3点は共通しています。制度に振り回されるより、まず自社にとって必要な設備と適正な価格を把握するほうが確実です。
なお、制度の内容や公募スケジュールは頻繁に見直されます。申請の際は必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。
| OA機器の導入・入れ替えのご相談を承ります 補助金の対象になるかどうかも含めて、オフィス環境の見直しをまとめてご相談いただけます。複合機からビジネスフォン、光回線まで対応します。 お問い合わせはこちらから。 |