複合機の乗っ取り・情報漏洩を防ぐには?セキュリティリスクの原因・被害事例・今すぐできる対策を徹底解説
目次
- なぜ複合機のセキュリティ対策が必要なのか
- 複合機の乗っ取り・情報漏洩につながる6つのセキュリティリスク
- 1. ネットワーク経由の不正アクセスと乗っ取り
- 2. 複合機を踏み台にしたサイバー攻撃
- 3. HDD/SSDに残るデータの流出
- 4. 印刷物の放置による情報漏洩
- 5. FAXの誤送信
- 6. 管理者パスワードの初期設定放置
- 今すぐできる!複合機の乗っ取り・情報漏洩を防ぐ8つの対策
- 対策1:管理者パスワードを変更する
- 対策2:ファイアウォールを設定する
- 対策3:IPアドレスフィルタリングを設定する
- 対策4:通信の暗号化(SSL/TLS、IPsec)を有効にする
- 対策5:ユーザー認証印刷(ICカード認証)を導入する
- 対策6:HDD/SSDのデータ消去・暗号化を設定する
- 対策7:FAXの誤送信防止機能を活用する
- 対策8:ファームウェアを最新の状態に保つ
- リース返却・廃棄時のデータ消去も忘れずに
- データ消去の方法
- 廃棄時のHDD物理破壊
- セキュリティ対策が充実している複合機メーカーの特徴
- 複合機のセキュリティ対策チェックリスト
- まとめ|複合機もIT機器として適切なセキュリティ対策を
「複合機が乗っ取られることなんてあるの?」「PCのセキュリティは対策しているけど、複合機は何もしていない」——多くの企業がPCやサーバーのセキュリティ対策には注力していますが、複合機のセキュリティは見落とされがちです。しかし、現代の業務用複合機はネットワークに接続されたIT機器であり、不正アクセスによる乗っ取りや情報漏洩のリスクが存在します。実際に複合機を踏み台にした攻撃事例や、内部データの流出事例も報告されています。本記事では、複合機の乗っ取り・情報漏洩のリスクと原因、実際の被害事例、今すぐ実践できるセキュリティ対策までわかりやすく解説します。
なぜ複合機のセキュリティ対策が必要なのか

業務用複合機は、コピー・プリント・スキャン・FAXの機能を持つだけでなく、内部にHDDやSSDを搭載し、コピーやスキャンしたデータを保存・処理しています。さらに、社内ネットワークに常時接続されているため、PCやサーバーと同様にサイバー攻撃の対象となり得ます。
複合機のセキュリティが見落とされやすい最大の理由は、多くの人が複合機を「印刷する機械」としか認識しておらず、「IT機器」として捉えていないことにあります。しかし実態としては、複合機は社内の機密文書・顧客情報・契約書・請求書などの重要データを日常的に取り扱っており、セキュリティの穴があれば甚大な被害につながります。
複合機の乗っ取り・情報漏洩につながる6つのセキュリティリスク
| No. | リスクの種類 | 原因 | 想定される被害 |
|---|---|---|---|
| 1 | ネットワーク経由の不正アクセス | グローバルIPアドレスの直接公開・設定不備 | 複合機の乗っ取り内部データの窃取 |
| 2 | 複合機を踏み台にした社内ネットワーク攻撃 | 乗っ取られた複合機から他のPCやサーバーを攻撃 | 社内全体へのマルウェア拡散 |
| 3 | HDD/SSDに残るデータの流出 | コピー・スキャン・FAXのデータが内部ストレージに残存 | リース返却時・廃棄時の機密データ流出 |
| 4 | 印刷物の放置による情報漏洩 | 出力した書類が複合機のトレイに放置 | 第三者による機密書類の閲覧・持ち出し |
| 5 | FAXの誤送信 | 宛先番号の入力ミス短縮番号の設定ミス | 機密情報の外部送信 |
| 6 | 管理者パスワードの初期設定のまま放置 | 初期パスワードを変更せずに運用 | 誰でも管理画面にアクセス可能な状態 |
1. ネットワーク経由の不正アクセスと乗っ取り
複合機がインターネットに直接公開されている状態(グローバルIPアドレスが付与されている状態)では、外部からの不正アクセスを受けるリスクがあります。攻撃者が複合機に不正にアクセスすると、内部に保存されたスキャンデータやFAXデータの窃取、複合機の設定改ざん、さらには複合機を「踏み台」にして社内の他のPCやサーバーを攻撃される恐れがあります。
2. 複合機を踏み台にしたサイバー攻撃
複合機が乗っ取られると、同じネットワーク内に接続されているPCやサーバーへの攻撃拠点として利用される危険があります。複合機はPCほどセキュリティソフトが導入されていないケースが多いため、攻撃者にとって「狙いやすい入り口」となります。最悪の場合、自社が被害者から加害者に転じてしまうリスクもあります。
3. HDD/SSDに残るデータの流出
複合機の内部には、コピー・スキャン・FAX送受信のデータがHDDやSSDに一時保存されます。複合機をリース返却する際や、廃棄する際にこのデータを適切に消去しないと、次の利用者や回収業者を通じて機密情報が流出するリスクがあります。過去には、中古複合機のHDDから顧客の個人情報が発見された事例も報告されています。
4. 印刷物の放置による情報漏洩
意外と見落とされがちですが、最も身近な情報漏洩リスクが「印刷物の放置」です。出力した書類が複合機のトレイに長時間放置されると、第三者に閲覧されたり持ち出されたりする可能性があります。情報漏洩事件の多くが内部の人間によるものといわれており、物理的なセキュリティ対策も重要です。
5. FAXの誤送信
FAXの宛先番号を間違えて送信してしまう「誤送信」は、複合機からの情報漏洩で最も多いパターンの一つです。取引先の情報や顧客データが誤った宛先に送られると、信用問題に発展する可能性があります。
6. 管理者パスワードの初期設定放置
複合機の管理者パスワードを初期設定のまま変更していない企業は意外と多く存在します。初期パスワードはメーカーごとに共通の場合が多いため、悪意のある人間が管理画面にアクセスし、設定を改ざんしたり保存データを閲覧したりすることが可能になります。
今すぐできる!複合機の乗っ取り・情報漏洩を防ぐ8つの対策

対策1:管理者パスワードを変更する
最も基本的かつ重要な対策です。複合機の管理者パスワードが初期設定のままになっている場合は、すぐに強固なパスワードに変更しましょう。英数字・記号を組み合わせた8文字以上のパスワードを設定し、定期的に変更することが推奨されます。
対策2:ファイアウォールを設定する
複合機にファイアウォール機能が搭載されている場合は、必ず有効にしましょう。外部からの不正アクセスをブロックし、許可されたIPアドレスからのみアクセスを受け付ける設定にすることで、乗っ取りのリスクを大幅に低減できます。
対策3:IPアドレスフィルタリングを設定する
複合機にアクセスできるIPアドレスを、社内のネットワークに限定する設定を行いましょう。社内のPCからのみ複合機にアクセスできるようにすれば、外部からの不正アクセスをほぼ遮断できます。
対策4:通信の暗号化(SSL/TLS、IPsec)を有効にする
複合機とPC間の通信を暗号化することで、ネットワーク上でデータが盗聴・改ざんされるリスクを防げます。SSL/TLSやIPsecといった暗号化プロトコルに対応している機種であれば、設定を有効にしておきましょう。
対策5:ユーザー認証印刷(ICカード認証)を導入する
ユーザー認証印刷とは、複合機の前でICカードをかざすか、パスワードを入力しないと印刷が出力されない仕組みです。印刷物の放置による情報漏洩を防止できるだけでなく、「誰がいつ何を印刷したか」のログを記録できるため、不正利用の抑止効果もあります。
対策6:HDD/SSDのデータ消去・暗号化を設定する
複合機の内部ストレージに保存されるデータは、自動消去(上書き消去)機能を有効にしておきましょう。コピーやスキャンのジョブが完了した後に、データを自動的に上書き消去する設定にすれば、情報が内部に残り続けるリスクを排除できます。また、ストレージの暗号化機能が搭載されている場合は、万が一HDDが物理的に持ち出されても、データを読み取れないようにしておきましょう。
対策7:FAXの誤送信防止機能を活用する
多くの業務用複合機には、FAX送信時に宛先を二重確認する機能や、送信前にプレビュー画面を表示する機能が搭載されています。短縮番号を正確に登録し、初めての宛先には必ず確認画面を表示する設定にしておくことで、誤送信リスクを大幅に減らせます。
対策8:ファームウェアを最新の状態に保つ
複合機のファームウェア(内蔵ソフトウェア)には、セキュリティの脆弱性を修正するアップデートが定期的に提供されています。古いファームウェアのまま運用していると、既知の脆弱性を攻撃されるリスクが高まります。メーカーや販売店に確認し、最新のファームウェアを適用しておきましょう。
リース返却・廃棄時のデータ消去も忘れずに
複合機のリース契約が満了して機器を返却する際や、購入した複合機を廃棄する際は、内部のHDD/SSDに残っているデータを確実に消去することが不可欠です。
データ消去の方法
多くのメーカーでは、リース返却前にHDD/SSDのデータを完全消去する機能を提供しています。「初期化」だけではデータが復元可能な場合があるため、「上書き消去(データを複数回上書きして完全に読み取れなくする方法)」を実施することが推奨されます。消去証明書を発行してくれるメーカーや販売店もあるため、返却時に依頼しておくと安心です。
廃棄時のHDD物理破壊
複合機を廃棄する場合は、HDDを取り外して物理的に破壊するのが最も確実な方法です。専門業者に依頼すれば、破壊証明書を発行してもらえます。自社で処分する場合は、電動ドリルやハンマーなどでディスクの磁気面を破壊します。
セキュリティ対策が充実している複合機メーカーの特徴
| メーカー | 主なセキュリティ機能 | 特徴 |
|---|---|---|
| リコー | 通信暗号化(IPsec/SSL/TLS)ユーザー認証・アクセス制御HDDデータ上書き消去セキュリティパッチの定期提供 | セキュリティ対策にいち早く着目業界最高水準のセキュリティ体制 |
| キヤノン | データ暗号化・上書き消去ICカード認証対応USB使用制限不正アクセス検知 | 多層的なセキュリティ機能を搭載グッドデザイン賞受賞のUI |
| 富士フイルムBI | HDDデータ暗号化(AES256bit)USB制限・操作ログ管理ファイアウォール内蔵TPMチップ搭載 | 最高レベルの暗号化に対応官公庁・金融機関での採用実績 |
| シャープ | HDD暗号化・自動消去ICカード認証不正コピー防止機能 | 家庭用機器のノウハウを活かした直感的なセキュリティ設定 |
セキュリティ対策を重視する場合は、リコー・キヤノン・富士フイルムBIの3社が特に充実した機能を備えています。特に官公庁や金融機関など、高度なセキュリティが求められる環境では、富士フイルムBIのAES256bit暗号化やTPMチップ搭載機が選ばれています。
複合機のセキュリティ対策チェックリスト
□ 管理者パスワードを初期設定から変更したか
□ ファイアウォールを有効にしたか
□ IPアドレスフィルタリングで社内ネットワークに限定したか
□ 通信の暗号化(SSL/TLS・IPsec)を有効にしたか
□ ユーザー認証印刷(ICカード認証)を導入したか
□ HDD/SSDのデータ自動消去(上書き消去)を設定したか
□ ストレージの暗号化を有効にしたか
□ FAX誤送信防止機能(二重確認・プレビュー)を設定したか
□ ファームウェアを最新バージョンに更新したか
□ リース返却時のデータ消去手順を確認したか
まとめ|複合機もIT機器として適切なセキュリティ対策を
複合機はPCやサーバーと同様にネットワークに接続されたIT機器であり、不正アクセスによる乗っ取りや、内部データの流出、印刷物の放置やFAX誤送信による情報漏洩など、多くのセキュリティリスクが存在します。
対策の多くは、管理者パスワードの変更やファイアウォールの設定、ユーザー認証印刷の導入など、今すぐ実施できるものばかりです。「PCは対策しているけど複合機は何もしていない」という企業は、本記事のチェックリストを参考に、まずは基本的な対策から始めてみてください。
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