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光回線 更新日:  公開日:

インターネットのバックアップ回線とは?必要性・回線の種類・切り替えの仕組みを解説

業務システムやデータの多くがクラウド上にある今、インターネット回線が止まると、メールやWeb閲覧だけでなく、基幹システムやPOSレジまで使えなくなり、業務そのものが停止しかねません。実際、近年は大手通信事業者の大規模障害や自然災害による回線断が相次いでおり、1本の回線だけに頼る運用のリスクが高まっています。

そこで重要になるのが『インターネットのバックアップ回線』です。メイン回線が止まっても、別系統のバックアップ回線に切り替えれば通信を継続できます。

本記事では、バックアップ回線の基本から、必要とされる背景、利用できる回線の種類、切り替えの仕組み、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。

インターネットのバックアップ回線とは?

インターネットのバックアップ回線とは、通常利用しているメイン回線に加えて、災害時や障害発生時に通信を途切れさせないために、別系統で用意しておく予備の回線のことです。

メイン回線が何らかの理由で停止した際に、このバックアップ回線(サブ回線)へ切り替えることで、インターネット接続の停止、ひいては業務の停止を回避したり、ダウンタイムを短縮したりできます。

メイン回線とは別の通信経路を確保しておくこの考え方は、回線の『冗長化』とも呼ばれ、企業のネットワーク継続性を支える基本的な備えとして位置づけられています。

バックアップ回線と冗長化の関係

『バックアップ回線』と『回線の冗長化』はほぼ同じ文脈で使われますが、厳密にはバックアップ回線は冗長化を実現するための手段の一つです。

冗長化とは、障害に備えて回線や機器を複数用意しておくこと全般を指し、そのなかでメイン回線の代わりとなる予備回線がバックアップ回線にあたります。なお、企業システム全体の完全な冗長化を実現するには、回線だけでなくサーバーやシステム、データのバックアップも含めて総合的に備える必要があります。

本記事では、その第一歩となる『インターネット回線のバックアップ』に焦点を当てて解説します。

なぜインターネットのバックアップが必要なのか

「回線障害なんてめったに起きない」と考える方もいるかもしれませんが、実際には固定回線の大規模障害や災害による通信断は決して珍しくありません。ここでは、バックアップが必要とされる背景を具体的に見ていきます。

通信障害・災害の実例

平時であっても、通信回線の障害が100%起きないとはいえません。たとえば2023年には大手通信事業者が提供する通信サービスで大規模な障害が発生し、複数の都道府県で数十万回線規模に影響が及び、障害発生から長時間にわたってインターネットが利用できない事態となりました。

また、災害による被害も深刻です。地震では、通信ビルの停電や土砂崩れによる伝送路・ケーブルの損傷により、大規模なサービス障害が発生し、多数の固定インターネット回線に影響が出た事例もあります。こうした事態は、決して特別なものではなく、いつ自社に降りかかってもおかしくないリスクなのです。

通信が止まると業務はどうなるか

通信が断絶すると、企業活動の多くが停止してしまいます。社員の安否確認が難しくなったり、拠点間での情報のやりとりができなくなったりするだけでなく、エンドユーザーへのサービス提供も滞ります。

たとえば小売業界ではPOSレジが使えなくなり会計業務に支障が出ますし、自治体であれば住民サービスの停止につながります。製造業でもIoT化が進んでいるため、通信断によって製造業務そのものが止まる可能性があります。

クラウドやSaaSの利用が一般化した今、インターネット回線の停止による業務影響は、もはや許容できないほど大きくなっているのです。

バックアップ回線に利用できる回線の種類

バックアップ回線には、メイン回線とは異なる経路・系統の回線を選ぶことが基本です。ここでは、代表的な選択肢とそれぞれの特徴を紹介します。

【バックアップ回線の種類比較】

回線の種類コスト信頼性特徴
モバイル回線(LTE/5G)低〜中手軽・別経路。電波環境に左右される
別キャリアの光回線メインと同等スペックを別経路で確保
閉域網(IP-VPN等)中〜高拠点間通信向け。基幹系の信頼性が高い

モバイル回線(LTE・5G)

最も手軽で広く使われているのが、LTEや5Gなどのモバイル回線をバックアップに使う方法です。通常使用する光回線とは通信経路がまったく異なるため、有線回線が物理的に断線しても、近隣のモバイル基地局が有効であれば通信を継続できます。

普段使わないバックアップ用途であれば、利用時のみ課金される低コストなプランを選べる点もメリットです。一方で、モバイル回線は物理的な設備に問題がなくても、電波状況などの環境変化によって接続性が変わる特性があるため、いざというときに確実につながるかは事前の確認が欠かせません。

別系統の光回線・閉域網

より高い信頼性を求める場合は、メイン回線とは別のキャリア・別経路の光回線をバックアップとして用意する方法があります。普段使っている回線と同程度のスペックを別経路で確保できるのが理想ですが、その分コストや工事のハードルは高くなります。

また、企業の拠点間通信では、IP-VPNや広域イーサネット、エントリーVPNといった閉域網サービスを組み合わせ、信頼性の高い基幹系通信と、低コストで大容量の情報系通信を使い分けてバックアップを構成する方法もあります。グローバルIPアドレスを取得できるインターネット回線であれば、多くの場合バックアップ回線として利用可能です。

キャリア・ダイバーシティの考え方

バックアップ回線を選ぶうえで重要なのが、キャリア・ダイバーシティという考え方です。これは、異なる通信事業者のサービスを組み合わせ、物理的に異なる経路でネットワークを構成する方法を指します。

メイン回線とバックアップ回線を同じキャリアで契約してしまうと、そのキャリアで障害が起きた際に両方が同時に止まり、バックアップの意味がなくなってしまいます。異なるキャリア・異なる経路を選ぶことで、片方の事業者で障害が起きてももう一方で通信を維持でき、信頼性が格段に高まります。

バックアップ回線は『普段も障害時も活用』が理想

バックアップ回線は、障害時だけの保険と考えると、平常時はコストばかりがかかる存在に見えてしまいます。しかし、構成を工夫すれば、普段の通信にも活用しながら、障害時の備えにもできます。

たとえば、信頼性が要求される基幹系の通信はメイン回線で、大容量だが優先度が中程度の情報系通信はバックアップ回線で、というように役割を分けて両回線を同時運用する方法です。こうすれば、平常時はネットワーク全体の帯域を有効活用でき、メイン回線に障害が起きた際には重要な通信をバックアップ側へ自動的に切り替えてカバーできます。

バックアップ回線を『眠らせておく』のではなく、日常的にも価値を生む設計にすることで、投資を無駄なく回収できるのです。

バックアップ回線の切り替えの仕組み

バックアップ回線は、ただ契約しておくだけでは十分ではありません。メイン回線が止まったときに、いかにスムーズにバックアップへ切り替えるかが重要です。ここでは切り替えの仕組みを整理します。

手動切り替えと自動切り替え

バックアップ回線への切り替えには、手動と自動の2通りがあります。障害を認知してから人の手で接続を切り替える手動方式は、コストを抑えられる一方、異常時の対応としては切り替えに時間がかかり、対応が遅れるリスクがあります。

一方、ネットワーク機器(ルーターなど)を用いて自動的に切り替える方式であれば、メイン回線の障害を検知すると即座にバックアップ回線へ切り替わり、通信断の時間を最小限に抑えられます。業務への影響を抑えるという観点では、自動切り替えの構成が望ましいといえるでしょう。

死活監視で障害を検知する

自動切り替えを実現するには、メイン回線が正常かどうかを常に監視する『死活監視』の仕組みが必要です。代表的なのが、特定の宛先に定期的にPingを送信して応答を確認するネットワークモニタ機能です。

応答がなくなれば回線障害と判断し、バックアップ回線へと自動的に経路を切り替えます。ルーターによっては、静的経路や動的経路、インターフェース、デフォルトゲートウェイ(VRRP)など、さまざまな単位でバックアップを設定でき、自社の構成に合わせて柔軟に冗長化を組むことが可能です。

バックアップ回線を導入する際の注意点

バックアップ回線は用意して終わりではなく、いざというときに確実に機能させるための運用が欠かせません。ここでは、導入時に押さえておきたい注意点を解説します。

バックアップ回線の状態を監視し続ける

最も見落とされがちなのが、バックアップ回線そのものの健康状態の監視です。普段は使わないバックアップ回線は、長期間運用していると、いざ切り替えようとしたときにつながらないという事態が起こり得ます。

特にモバイル回線は環境変化で接続性が変わるため、定期的な疎通確認が欠かせません。メイン回線が正常なうちにバックアップ回線の異常を検知できれば、本当に必要になる前にメンテナンスができます。

IPアドレスの変更に注意する

バックアップ回線に切り替わると、利用するインターネット接続が変わるため、自社のグローバルIPアドレスも変わります。これにより、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可しているサービスには接続できなくなる場合があります。

モバイル回線のグローバルIPアドレスは一般的に固定ではないため、IPアドレス制限を前提とした運用をしている場合は、あらかじめ対策を検討しておく必要があります。バックアップ時にどの業務を優先するか、IP制限のあるサービスをどう扱うかを、事前に整理しておきましょう。

優先業務とコストを事前に整理する

バックアップ回線は、メイン回線と同等のスペックを別経路で用意するのが理想ですが、普段使わないインフラにコストをかけすぎるのは現実的ではありません。低コストの回線をバックアップとする場合、帯域が限られるため、すべての業務を平常時どおり継続するのは難しいこともあります。

そこで、障害時に優先すべき業務の順位をあらかじめ決めておき、最低限必要な通信に絞って確保する、といった割り切りが有効です。また、バックアップ回線が想定より多く使われた場合のコストも考慮し、料金プランを確認しておくことが大切です。

定期的な切り替えテストを実施する

バックアップ回線を導入したら、定期的に実際の切り替えテストを行うことも重要です。設定上は問題なく見えても、いざ本番でメイン回線が止まったときに、想定どおりバックアップへ切り替わらなかったり、特定の業務システムにアクセスできなかったりするケースは少なくありません。

年に数回でも、計画的にメイン回線を切り離してバックアップ回線だけで業務が回るかを検証しておけば、設定の不備や見落としを事前に発見できます。訓練を通じて、切り替え手順やIPアドレス変更の影響、優先業務の絞り込みが現実的に機能するかを確認しておくことが、有事の際の確実な業務継続につながります。

インターネットのバックアップに関するよくある質問

バックアップ回線にはどんな回線が使えますか?

グローバルアドレスを取得できるインターネット用回線であれば、概ね利用可能です。手軽さではLTEなどのモバイル回線、信頼性では別キャリアの光回線が代表的です。メイン回線と異なる経路・キャリアを選ぶことが重要です。

中小企業でもバックアップは必要ですか?

クラウドやインターネットを業務で使う企業であれば、規模を問わず検討する価値があります。近年は月額数千円程度から導入できるサービスもあり、まずは優先度の高い通信から段階的に備えることが可能です。

バックアップ回線は普段は使わないのですか?

構成によります。障害時のみ使う待機型(アクティブ・スタンバイ)のほか、平常時から両回線を使って負荷分散し、障害時に片方へ寄せる活用型(アクティブ・アクティブ)もあります。普段も活用すれば投資を無駄なく生かせます。

まとめ:バックアップ回線で止まらないネットワークを

インターネットのバックアップ回線とは、メイン回線が止まったときに通信を継続するための予備回線であり、災害や大規模障害が現実に発生している今、企業のBCP対策として欠かせない備えです。

バックアップにはモバイル回線や別系統の光回線などが利用でき、メイン回線とは異なる経路・キャリアを選ぶキャリア・ダイバーシティが信頼性のカギになります。導入の際は、自動切り替えと死活監視の仕組みを整え、バックアップ回線自体の状態を継続的に監視すること、IPアドレス変更への対応、優先業務とコストの整理が重要です。

すべてを完璧に備える必要はありません。自社にとって何が止まると困るのかを見極め、優先度とコストのバランスを取りながら、止まらないネットワーク環境を実現しましょう。

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