複合機の導入で税額控除は受けられる?中小企業経営強化税制の仕組み・対象条件・即時償却との違い・申請手順を徹底解説
目次
- 複合機の税額控除とは?基本の仕組みを解説
- 税額控除と減価償却の違い
- 複合機で税額控除を受けるための代表的な制度|中小企業経営強化税制
- 制度の概要
- 複合機が税額控除の対象になる条件
- リース契約でも税額控除は受けられる
- 即時償却と税額控除、どちらを選ぶべき?
- 具体的なシミュレーション
- 複合機で税額控除を受けるための申請手順
- 複合機の税額控除で注意すべき5つのポイント
- 1. 税額控除には上限がある
- 2. 中小企業投資促進税制では複合機は対象外
- 3. 中古品は対象外
- 4. 計画認定のタイミングに注意する
- 5. 必ず税理士に相談する
- 複合機の導入で活用できるその他の税制優遇
- 少額減価償却資産の特例(30万円未満)
- 固定資産税(償却資産税)の軽減措置
- 2026年度税制改正|設備投資促進減税
- まとめ|複合機の税額控除を賢く活用して設備投資の負担を軽減しましょう
「複合機を導入したときに税額控除は使えるの?」「即時償却と税額控除はどちらがお得?」——複合機は数十万〜数百万円と高額な設備投資ですが、中小企業経営強化税制をはじめとする税制優遇を活用すれば、取得価額の最大10%の税額控除や即時償却が可能です。しかし、対象となる条件や申請手続きは制度ごとに細かく決められており、「知らなかった」「手続きが間に合わなかった」と後から悔やむケースも少なくありません。本記事では、複合機の導入で活用できる税額控除の仕組みや対象条件、申請の流れ、即時償却との違いまでわかりやすく解説します。
※本記事は2026年5月時点の税制情報に基づいています。税制は年度ごとに改正される場合がありますので、適用にあたっては必ず顧問税理士にご確認ください。
複合機の税額控除とは?基本の仕組みを解説

税額控除とは、設備投資を行った際に、取得価額の一定割合を法人税(または所得税)から直接差し引ける制度です。通常の減価償却とは異なり、納税額そのものを減らせるため、節税効果が非常に大きいのが特徴です。
税額控除と減価償却の違い
| 比較項目 | 税額控除 | 通常の減価償却 |
|---|---|---|
| 仕組み | 取得価額の一定割合を法人税から直接差し引く | 取得価額を耐用年数で按分して毎年経費計上 |
| 効果 | 納税額が直接減る | 課税所得が減る(間接的に税負担軽減) |
| 複合機での控除率 | 取得価額の7%または10% | 耐用年数5年で按分 |
| 適用条件 | 特定の税制優遇制度の要件を満たす必要あり | 購入した資産は原則すべて対象 |
たとえば、200万円の複合機を購入し10%の税額控除を受けた場合、法人税から20万円が直接控除されます。通常の減価償却は課税所得を減らすことで間接的に税負担を軽減するのに対し、税額控除は納税額そのものが減るため、キャッシュフローへのインパクトが大きい制度です。
複合機で税額控除を受けるための代表的な制度|中小企業経営強化税制
複合機の導入で税額控除を受ける際に、最も活用されているのが「中小企業経営強化税制」です。中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた事業者が、一定の設備を取得した場合に、即時償却または税額控除を選択適用できる制度です。
制度の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 中小企業経営強化税制 |
| 根拠法 | 中小企業等経営強化法 |
| 適用期間 | 令和9年(2027年)3月31日まで ※延長の可能性あり |
| 税制措置 | 即時償却 または 税額控除(10%、資本金3,000万円超は7%)を選択 |
| 対象設備 | 器具備品(複合機含む):1台30万円以上機械装置:1台160万円以上 など |
| 対象事業者 | 資本金1億円以下の法人 または 従業員1,000人以下の個人事業主青色申告書を提出していること |
| 必要な手続き | 経営力向上計画の策定・申請・認定工業会等の証明書取得確定申告時に計画認定書等を添付 |
複合機が税額控除の対象になる条件
中小企業経営強化税制では、複合機は「器具及び備品」に分類され、1台あたりの取得価額が30万円以上であれば対象になります。ただし、単に複合機を購入するだけでは適用されず、「経営力向上計画」の認定を受け、その計画に基づいて導入する必要があります。
重要なポイント:中小企業投資促進税制(措法42条の6)では、平成29年度の税制改正により「デジタル複合機」は対象設備から除外されています。そのため、複合機で税額控除を受けるには中小企業経営強化税制を活用する必要があります。
リース契約でも税額控除は受けられる
複合機をリースで導入する場合でも、所有権移転外ファイナンス・リース取引であれば税額控除の適用を受けることができます。ただし、リースの場合は即時償却は選択できず、税額控除のみとなります。税額控除額はリース費用の総額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)です。
即時償却と税額控除、どちらを選ぶべき?
中小企業経営強化税制では、即時償却と税額控除のどちらかを選択適用できます。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った方を選びましょう。
| 比較項目 | 即時償却 | 税額控除 |
|---|---|---|
| 内容 | 取得価額の全額を取得年度に一括償却 | 取得価額の7%または10%を法人税から直接控除 |
| 節税効果のタイミング | 取得年度に集中(翌年以降の償却費はゼロ) | 取得年度に控除(通常の減価償却も並行) |
| トータルの節税額 | 通常の減価償却と同じ(タイミングが前倒しになるだけ) | 通常の減価償却に加えて税額控除分が「上乗せ」の節税 |
| リースの場合 | 選択不可 | 選択可能 |
| 向いているケース | 利益が大きい年度に大きく節税したい場合キャッシュフローを早期に改善したい | トータルの節税額を最大化したい場合安定した利益がある企業 |
具体的なシミュレーション
200万円の複合機を購入した場合で、即時償却と税額控除の効果を比較してみましょう(法人税率を23.2%と仮定)。
| 項目 | 即時償却 | 税額控除(10%) |
| 取得年度の償却費 | 200万円(全額) | 40万円(通常の定額法) |
| 取得年度の税負担軽減額 | 約46.4万円(200万×23.2%) | 約29.3万円(40万×23.2%+20万控除) |
| 5年間のトータル節税額 | 約46.4万円(=通常の減価償却と同額) | 約66.4万円(通常の償却46.4万+控除20万) |
5年間のトータル節税額では、税額控除の方が約20万円多く節税できます。即時償却は税の支払いを「前倒し」するだけで、5年間の総額では通常の減価償却と変わりません。一方、税額控除は通常の償却に加えて控除額が「上乗せ」されるため、トータルの節税効果が大きくなります。
ただし、取得年度に大きな利益が出ている場合は、即時償却でキャッシュフローを早期に改善する方が事業上有利なケースもあるため、状況に応じた判断が必要です。
複合機で税額控除を受けるための申請手順

STEP1:経営力向上計画を策定する
自社の経営状況を分析し、設備投資を含む「経営力向上計画」を策定します。計画書には、導入する設備の概要、期待される生産性向上の効果、投資金額などを記載します。テンプレートは中小企業庁のウェブサイトからダウンロード可能です。
STEP2:工業会等の証明書を取得する
導入する複合機が「生産性向上設備」に該当することを証明する「仕様等証明書」を、メーカーまたは工業会から取得します。この証明書の発行には通常2〜3週間かかるため、早めに手配を始めましょう。リース会社や販売店が取得を代行してくれるケースもあります。
STEP3:経営力向上計画の認定を申請する
策定した計画を、事業分野に対応する主務大臣(多くの場合は経済産業局)に申請します。認定までには通常30日程度かかります。原則として、設備取得前に計画の認定を受ける必要がありますが、設備取得後60日以内であれば事後申請も可能です(ただし年度をまたがない場合に限る)。
STEP4:設備を取得し、事業の用に供する
認定を受けた計画に基づいて複合機を購入またはリースし、事業の用に供します。
STEP5:確定申告時に必要書類を添付する
法人税の確定申告時に、「経営力向上計画の認定書の写し」「工業会等の証明書の写し」「税額控除の明細書」を添付して申告します。必要書類が不足すると税額控除が認められないため、事前に税理士と確認しておきましょう。
複合機の税額控除で注意すべき5つのポイント

1. 税額控除には上限がある
税額控除額は、その事業年度の法人税額の20%が上限となります。たとえば法人税額が100万円の場合、税額控除の上限は20万円です。上限を超えた分は翌事業年度に繰り越すことができますが、事前に法人税額と控除額の関係を確認しておきましょう。
2. 中小企業投資促進税制では複合機は対象外
平成29年度の税制改正により、中小企業投資促進税制(措法42条の6)の対象からデジタル複合機は除外されました。そのため、複合機で税額控除を受けるには中小企業経営強化税制を活用する必要があります。
3. 中古品は対象外
中小企業経営強化税制の対象となるのは新品の設備のみです。中古複合機を購入した場合は税額控除を受けることができません。税制優遇を最大限活用するなら、新品の購入またはリースを検討しましょう。
4. 計画認定のタイミングに注意する
原則として、設備取得前に経営力向上計画の認定を受ける必要があります。認定前に複合機を購入してしまうと税額控除が受けられなくなるリスクがあるため、スケジュール管理が重要です。事後申請も一定条件で可能ですが、確実に適用を受けるためには事前認定を心がけましょう。
5. 必ず税理士に相談する
税額控除の適用には、税法上の要件を細かく満たす必要があり、誤った申告は税務調査でのリスクにつながります。複合機の導入を検討する段階で顧問税理士に相談し、自社が対象になるかどうか、即時償却と税額控除のどちらが有利かを確認した上で進めましょう。本記事の内容はあくまで一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。
複合機の導入で活用できるその他の税制優遇
少額減価償却資産の特例(30万円未満)
青色申告をしている中小企業者等は、取得価額が30万円未満の減価償却資産を全額その年度の損金に算入できます。複合機の取得価額が30万円未満であれば、税額控除の手続きを経ずに一括経費処理が可能です。年間合計300万円が限度額となります。
固定資産税(償却資産税)の軽減措置
中小企業経営強化税制の適用を受けた設備については、固定資産税(償却資産税)が3年間ゼロまたは1/2に軽減される特例があります。複合機の場合、同一市区町村の償却資産の課税標準額合計が150万円未満であれば、そもそも免税点以下で固定資産税はかかりませんが、他の設備と合算して150万円以上になる場合はこの軽減措置が有効です。
2026年度税制改正|設備投資促進減税
2026年度の税制改正では、全業種を対象とした「設備投資促進減税」が検討されています。一定規模以上の設備投資に対して7%の税額控除または即時償却を選べる制度です。中小企業経営強化税制と併用できるかどうかは今後の公表を待つ必要がありますが、複合機の導入タイミングとあわせて最新情報を確認しておくことをおすすめします。
まとめ|複合機の税額控除を賢く活用して設備投資の負担を軽減しましょう
複合機の導入で税額控除を受けるには、中小企業経営強化税制の活用が最も一般的です。取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除、または全額即時償却を選択でき、リース契約でも税額控除の適用が可能です。5年間のトータル節税額では、税額控除の方が即時償却よりも有利になるケースが多いですが、取得年度の利益状況によって最適な選択は異なります。
税額控除の適用には経営力向上計画の認定や工業会証明書の取得が必要となるため、複合機の導入を検討する段階で早めに準備を始め、税理士に相談した上で進めることが重要です。
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