株式会社ライド

情報セキュリティ 更新日:  公開日:

クラウド型UTMとは?アプライアンス型との違いとメリット・デメリット、選び方を解説

UTMの導入を検討していると、「クラウド型」と「アプライアンス型(機器型)」という2つの選択肢が出てきます。どちらを選べばよいのか、何が違うのかがわからず、迷っている方も多いのではないでしょうか。

クラウド型UTMは、社内に機器を置かずに、インターネット経由でUTMの機能を利用できるサービスです。テレワークや複数拠点の広がりとともに注目されていますが、すべての会社にとって最適とは限りません。

この記事では、クラウド型UTMの仕組み、アプライアンス型との違い、メリットとデメリット、向いている企業、選び方、導入の流れと費用の目安までを順に解説します。

まずは、検討時によく出る3つの疑問への答えを表で確認してください。確認したいポイントをクリックすると、該当する見出しへ移動します。

確認したいポイント結論詳細
クラウド型UTMとは?UTMの機能をクラウド上で利用するサービスファイアウォールやウイルス対策などの機能を、社内に機器を置かずにインターネット経由で利用します。運用は事業者に任せられます。
アプライアンス型との違いは?機器の有無・費用の形・拠点への広げやすさアプライアンス型は社内に機器を置いて管理し、クラウド型は月額料金で利用します。拠点やテレワークにも広げやすいのが特徴です。
どんな会社に向いている?拠点が多い会社やテレワーク中心の会社複数の拠点や在宅勤務の社員をまとめて守りたい会社、IT担当者が少ない会社に向いています。1拠点のみなら機器型も有力です。

この記事でわかること

  • クラウド型UTMの仕組みと、UTMの基本的な機能
  • アプライアンス型(機器型)UTMとの違い
  • クラウド型UTMのメリットと、導入前に知っておきたいデメリット
  • クラウド型UTMが向いている企業と、アプライアンス型が向いている企業
  • クラウド型UTMの選び方と、導入の流れ・費用の目安

クラウド型UTMとは

クラウド型UTMとは、UTMのセキュリティ機能を、事業者のクラウド上で提供するサービスです。社内に専用の機器を設置せずに、インターネット経由でUTMの機能を利用できます。

UTMの基本的な機能

UTM(統合脅威管理)とは、複数のセキュリティ機能を1つにまとめて、社内ネットワークの出入口を守る仕組みです。主に次のような機能があります。

  • ファイアウォール:許可されていない通信を遮断する
  • アンチウイルス:通信に含まれるウイルスを検知する
  • 不正侵入検知・防御(IDS/IPS):攻撃と思われる通信を見つけて止める
  • Webフィルタリング:危険なサイトや業務に不要なサイトへのアクセスを制限する
  • アンチスパム:迷惑メールやなりすましメールをブロックする

従来は、こうした機能を持つ専用の機器(アプライアンス)をオフィスに設置するのが一般的でした。これを「アプライアンス型UTM」と呼びます。

クラウド型UTMの仕組み

クラウド型UTMでは、社内の通信をいったん事業者のクラウド上にあるUTMを経由させてからインターネットにつなぎます。クラウド上でまとめて通信をチェックし、危険な通信を遮断する仕組みです。

つまり、アプライアンス型では「オフィスの入口」に置いていた門番を、クラウド上の共通の入口に移したようなイメージです。どの拠点からの通信も、同じ門番を通ってからインターネットに出ていきます。

オフィスとクラウドの間は、暗号化された通信(VPN)や専用のネットワークでつなぐのが一般的です。サービスによっては、パソコンに専用のソフトを入れることで、オフィスの外からでもクラウド上のUTMを経由させられるものもあります。

▼関連記事:UTMとウイルス対策ソフトの違いは?守る場所と防げる範囲を比べて解説

クラウド型UTMとアプライアンス型UTMの違い

クラウド型とアプライアンス型は、どちらもUTMとしての基本的な機能は同じです。違いは、機器の有無、費用のかかり方、運用の担い手、拠点やテレワークへの広げやすさなどにあります。

機器の設置

アプライアンス型は、UTMの機器をオフィスに設置します。拠点が複数ある場合は、拠点ごとに機器が必要です。

クラウド型は、UTMの本体が事業者のクラウド上にあるため、オフィスにUTMの機器を置く必要がありません。クラウドにつなぐためのルーターなどが必要になる場合はありますが、設置の手間は少なく済みます。

費用のかかり方

アプライアンス型は、機器の購入費またはリース料と、ライセンス費用がかかります。リースで導入する場合は、5年程度の契約になるのが一般的です。

クラウド型は、機器の購入が不要なため初期費用を抑えやすく、利用する拠点数や人数、通信量に応じた月額料金を支払う形が中心です。

運用・保守の担い手

アプライアンス型は、機器の設定の変更や、ソフトウェアの更新、故障時の対応などを自社または保守を契約した業者が行います。

クラウド型は、サービスを提供する事業者がUTMの運用や更新を行うのが一般的です。社内にIT担当者がいない会社でも、運用の負担を小さくできます。

拠点やテレワークへの広げやすさ

アプライアンス型で新しい拠点を守るには、拠点ごとに機器を追加する必要があります。また、社外に持ち出したパソコンや在宅勤務の端末は、オフィスのUTMを通らないため守れません。

クラウド型は、拠点の追加も契約の変更で対応しやすく、サービスによってはテレワークの端末も同じルールで守れるのが大きな特徴です。

導入までの期間

アプライアンス型は、機器の選定と手配、設置の工事、設定作業が必要なため、導入までに数週間程度かかるのが一般的です。拠点が多い場合は、拠点ごとに作業が発生します。

クラウド型は、機器の手配や設置が少ない分、申し込みから短期間で使い始められるサービスが多くあります。

障害時の影響範囲と通信への影響

アプライアンス型は、機器が故障するとその拠点の通信に影響が出ますが、ほかの拠点には影響しません。社内で通信を処理するため、クラウドを経由することによる遅れもありません。

クラウド型は、事業者のクラウドやインターネット回線に障害が起きると、複数の拠点に同時に影響が出る可能性があります。また、通信がクラウドを経由するため、サービスや回線の状況によっては通信速度に影響が出ることもあります。

クラウド型UTMのメリット

クラウド型UTMには、アプライアンス型にはない導入や運用のしやすさがあります。主なメリットを紹介します。

初期費用を抑えて短期間で導入できる

クラウド型UTMは、専用の機器を購入する必要がないため、初期費用を抑えて導入できます。機器の手配や設置の工事がない分、申し込みから利用開始までの期間も短くなりやすいのが特徴です。

新しい拠点を急いで開設する場合や、すぐにセキュリティ対策を始めたい場合に向いています。また、機器を置くスペースや電源を用意する必要がないため、小さな事務所や店舗でも導入しやすいという利点もあります。

運用や更新を事業者に任せられる

クラウド型UTMでは、ソフトウェアの更新やウイルス定義ファイルの更新を事業者が行うのが一般的です。常に新しい脅威に対応した状態を保ちやすく、社内で更新作業を管理する手間がかかりません。

サービスによっては、24時間の監視や、異常時の連絡・対応まで含まれているものもあります。専任のIT担当者がいない中小企業にとって、大きな安心材料になります。

複数の拠点やテレワークをまとめて守れる

クラウド型UTMなら、本社、支店、在宅勤務の社員など、場所の異なる通信を同じセキュリティのルールでまとめて管理できます。管理画面から、すべての拠点の状況を一括で確認できるのも便利な点です。

総務省は、クラウドの活用やテレワークの広がり、サイバー攻撃の高度化などを踏まえて、テレワークのセキュリティに関する指針を見直し、企業向けの対策や中小企業向けのチェックリストを公表しています(参考:総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」)。オフィスの外での働き方が広がるなかで、場所を問わずに守れる仕組みの重要性は高まっています。

会社の規模の変化に合わせやすい

社員の増加や通信量の増加に合わせて、契約のプランを変更するだけで性能を上げられるのもクラウド型の特徴です。アプライアンス型のように、性能が足りなくなったからといって機器ごと入れ替える必要がありません。

クラウド型UTMのデメリットと注意点

クラウド型UTMは便利な一方で、導入前に知っておきたい注意点もあります。

月額費用が続き、長期の総額が高くなることがある

クラウド型UTMは初期費用を抑えられる代わりに、利用している限り月額料金がかかり続けます。拠点数や利用人数が多い会社では、長く使うほど、アプライアンス型より総額が高くなることもあります。

導入を比べる際は、5年程度の総額で、アプライアンス型のリース料やライセンス費用と比較しましょう。

通信速度に影響が出る場合がある

クラウド型UTMでは、通信がクラウドを経由するため、経由の方法やサービスの処理能力によっては、通信が遅く感じられることがあります。大容量のデータを頻繁にやり取りする会社や、Web会議を多用する会社は、事前に通信の品質を確認しておきましょう。

設定の自由度が限られる場合がある

クラウド型UTMは、多くの会社で共通の仕組みを使うサービスのため、細かい設定の変更や、特殊な通信への対応に制約がある場合があります。社内で独自のシステムを使っている場合は、必要な設定ができるかを事前に確認しましょう。

回線やサービスの障害の影響を受ける

インターネット回線や事業者のクラウドに障害が起きると、UTMの機能が使えなくなったり、インターネットにつながらなくなったりすることがあります。事業者の障害時の対応や、過去の稼働の実績を確認しておくと安心です。

契約期間や解約の条件を確認する

クラウド型UTMにも、最低利用期間や解約時の条件が設けられている場合があります。「気軽に始めて、合わなければやめられる」と思っていても、契約の内容によっては途中で解約しにくいこともあります。

また、ほかのサービスに乗り換える場合は、設定のやり直しや接続方法の変更が必要になります。契約前に、解約や乗り換えの手順も確認しておきましょう。

▼関連記事:UTMは必要ない?不要と言われる理由と、導入すべき企業の判断基準を解説

クラウド型とアプライアンス型のどちらが合うか迷っている方へ
株式会社ライドでは、拠点の数や社員数、働き方、今のネットワーク環境をお聞きしたうえで、自社に合ったUTMの導入方法をご提案します。
今お使いのUTMの入れ替えや見直しのご相談もお気軽にどうぞ。
UTMのお問い合わせはこちら

クラウド型UTMが向いている企業

クラウド型とアプライアンス型には、それぞれ向いている企業があります。自社の状況に照らして、どちらが合うかを判断しましょう。

クラウド型UTMが向いている企業

  • 支店や営業所、店舗など、複数の拠点がある企業
  • 在宅勤務や外出が多く、オフィスの外で働く社員が多い企業
  • 社内にIT担当者がいない、または少ない企業
  • 初期費用を抑えて、すぐにセキュリティ対策を始めたい企業
  • 今後、拠点や社員数の増減が見込まれる企業

特に、拠点ごとに機器を置いて管理するのが負担になっている会社や、テレワークの端末まで同じルールで守りたい会社では、クラウド型のメリットを活かしやすくなります。

アプライアンス型UTMが向いている企業

  • 拠点が1つで、社員の多くがオフィスで働いている企業
  • 大容量の通信が多く、通信速度を重視する企業
  • 細かい設定の変更や、独自のシステムへの対応が必要な企業
  • 長く同じ構成で使い、総額を抑えたい企業

また、アプライアンス型は機器が手元にあるため、通信の記録(ログ)を社内で保管・確認したい会社や、取引先から社内での管理を求められている会社にも向いています。

1拠点のオフィスで働き方が大きく変わらない会社であれば、アプライアンス型のほうが総額や通信速度の面で有利になることもあります。

両方を組み合わせる選択肢もある

本社にはアプライアンス型のUTMを置き、支店や在宅勤務の端末はクラウド型で守るというように、両方を組み合わせる方法もあります。

また、ネットワークとセキュリティの機能をまとめてクラウドで提供する仕組みも広がっています。会社の規模や働き方の変化に合わせて、段階的に見直していくことが大切です。

▼関連記事:中小企業にUTMは必要?狙われる実態と、国の支援制度を含めた対策の選び方

クラウド型UTMの選び方

クラウド型UTMのサービスは数多くあり、機能や料金、サポートの内容はさまざまです。選ぶときに確認したいポイントを紹介します。

必要な機能がそろっているか

ファイアウォールやアンチウイルスなどの基本的な機能に加えて、Webフィルタリング、アンチスパム、不正侵入防御など、自社に必要な機能が含まれているかを確認しましょう。機能ごとに追加料金がかかるサービスもあります。

接続方式と通信の品質

オフィスやテレワークの端末からどのような方法でクラウドにつなぐのかを確認しましょう。今の回線やルーターをそのまま使えるか、新たな機器が必要かによって、導入の手間や費用が変わります。

可能であれば、試験的に導入して通信速度を確認できるサービスを選ぶと安心です。

サポートと監視の体制

異常が起きたときに、事業者がどこまで対応してくれるかは重要なポイントです。24時間の監視の有無、問い合わせの受付時間、定期的なレポートの提供などを確認しましょう。

事業者の実績と信頼性

クラウド型UTMでは、会社の通信をすべて事業者のクラウドに預けることになります。事業者の導入実績や、障害が起きたときの対応の実績を確認し、信頼できる事業者を選ぶことが大切です。データセンターが国内にあるかどうかを重視する会社もあります。

料金体系と総額

料金が、拠点数、利用人数、通信量のどれに応じて決まるのかを確認しましょう。拠点や人数が増えたときに、料金がどのように変わるかも重要です。

初期費用、月額料金、オプション料金を合計し、5年程度の総額でアプライアンス型と比べると、判断しやすくなります。

今のネットワークや回線との相性

クラウド型UTMは、インターネット回線の品質に大きく左右されます。回線の速度や安定性が十分か、今のネットワーク機器との相性に問題がないかも確認しましょう。回線とセキュリティをまとめて相談できる業者に依頼すると、スムーズに進められます。

UTMと光回線をまとめて見直したい方へ
株式会社ライドでは、UTMの導入に加えて、法人向け光回線やネットワーク機器の見直しもまとめてご提案しています。
今の請求書をもとに、通信費とセキュリティ対策の費用を比べたお見積もりも可能です。
無料見積もりのお問い合わせはこちら

クラウド型UTMの導入の流れと費用の目安

最後に、クラウド型UTMを導入する際の一般的な流れと、費用の考え方を紹介します。

導入までの流れ

一般的には、次のような流れで導入を進めます。

  • 現状の確認:拠点数、社員数、端末の台数、通信量、今のネットワーク構成を整理する
  • サービスの比較:必要な機能、接続方式、サポート、料金を比べる
  • 試験導入:可能であれば一部の拠点や端末で試し、通信速度や使い勝手を確認する
  • 本導入:拠点や端末ごとに接続の設定を行い、セキュリティのルールを決める
  • 運用の開始:定期的なレポートを確認し、必要に応じてルールを見直す

すべての拠点を一度に切り替えるのではなく、段階的に進めると、トラブルが起きても業務への影響を抑えられます。切り替えの前には、社内の業務システムや取引先のシステムに、これまでどおり接続できるかも確認しておきましょう。

費用の目安

クラウド型UTMの費用は、サービスや契約の内容によって大きく異なります。一般的には、初期費用に加えて、拠点数や利用人数に応じた月額料金がかかります。

アプライアンス型の場合は、小規模なオフィス向けの機種でリース月額数千円〜2万円程度が目安です。クラウド型と比べる際は、同じ条件で5年程度の総額を並べて比較しましょう。

▼関連記事:UTMの耐用年数は何年?法定耐用年数と実際の寿命、買い替えの判断基準を解説

UTMだけで守れない範囲にも備える

クラウド型でもアプライアンス型でも、UTMはネットワークの出入口を守る仕組みです。パソコンの中に入り込んだ脅威や、人の操作によるリスクまでは完全に防げません。

UTMに加えて、パソコンのウイルス対策ソフトやOSの更新、社員へのセキュリティ教育を組み合わせることで、より確実に会社の情報を守ることができます。

▼関連記事:セキュリティソフトの勘定科目は?金額・契約形態別の仕訳と2026年の改正点を解説

まとめ

クラウド型UTMは、UTMの機能を事業者のクラウド上で提供するサービスです。社内に機器を置く必要がなく、初期費用を抑えて短期間で導入でき、運用や更新も事業者に任せられます。

アプライアンス型との大きな違いは、機器の有無、費用のかかり方、運用の担い手、拠点やテレワークへの広げやすさです。複数の拠点がある会社や、テレワークが多い会社、IT担当者が少ない会社ではクラウド型が向いており、1拠点で通信速度や総額を重視する会社ではアプライアンス型が有力です。

選ぶ際は、必要な機能、接続方式と通信品質、サポート体制、料金体系を確認し、5年程度の総額で比べましょう。自社の規模や働き方に合った方法で、無理なくセキュリティ対策を続けることが大切です。

UTMや情報セキュリティの相談は株式会社ライドへ
株式会社ライドは、静岡県三島市を拠点に、UTMや防犯カメラ、ビジネスフォン、複合機、法人向け光回線の導入を通じて、オフィスの安全と業務環境の改善をお手伝いしています。セキュリティ対策の見直しもお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら

CONTACT お問い合わせ

取り扱いサービス、採用エントリーについてのお問い合わせはこちら

リース料金の見直しを無料で相談