防犯カメラの危険性とは?乗っ取り・情報漏えいの実例と導入前に必要な対策を解説
安全を守るために設置した防犯カメラが、逆に危険を招く。そんな事態が実際に起きています。国内でも、公的機関が管理するカメラが不正アクセスを受け、数百台規模で運用停止に至った事例が公表されています。
原因の多くは高度な攻撃ではありません。初期設定のパスワードを変えないまま使っていたという、対策すれば防げたはずのものです。
この記事では、防犯カメラに伴う危険を3つの種類に分けて整理し、実際に起きた事例、そして導入前と運用中にすべき対策をまとめました。導入をためらっている方にも、すでに設置済みで不安を感じている方にも読んでいただける内容です。
目次
- 防犯カメラの危険性は大きく3種類
- サイバー面のリスク
- プライバシー・法的なリスク
- 運用面のリスク
- 設置しないことがリスク回避にはならない
- ネットワークカメラが乗っ取られる仕組み
- どうやって侵入されるのか
- 初期パスワードのまま使うリスク
- 乗っ取られると何が起きるか
- 実際に起きた事例
- 河川監視カメラ337台が運用停止
- 学校・保育所のカメラでマルウェア感染
- クラウド型サービスでの大規模流出
- 国が実施している注意喚起の取組
- 自社が加害者になるリスク
- 攻撃の踏み台にされる
- 社内ネットワークへの侵入経路になる
- 被害に気づきにくい
- プライバシーと法的なリスク
- 隣家や公道を映す配置
- 従業員を撮影する場合
- 目的外の利用
- 映像データの管理義務
- 機器選びに潜むリスク
- 安価な製品とサポート体制
- ファームウェア更新の提供期間
- 技術基準適合証明のない無線機器
- 中古機器や引き継いだ機器
- 導入時にすべき対策
- パスワードを必ず変更する
- 外部からの接続を制限する
- ネットワークを分ける
- ファームウェアを最新にする
- アカウントの権限を絞る
- 運用でリスクを下げる
- 保存期間とアクセス権を決める
- 定期的に設定と映像を確認する
- 業者選びが最後の砦になる
- まとめ|危険は設定と運用で下げられる
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 防犯カメラにどんな危険がある? | サイバー・法的・運用の3種類 | 乗っ取りだけでなく、プライバシー侵害や録れていない事態も現実の危険です。 |
| なぜ乗っ取られる? | 初期パスワードのまま使うから | インターネットに接続された機器は常時スキャンされ、弱い設定が狙われます。 |
| 実際に被害は起きている? | 国内でも公的機関が公表 | 河川監視カメラ337台の運用停止や、学校・保育所での感染事例があります。 |
この記事でわかること
- 防犯カメラに伴う危険の全体像と、その3つの種類
- ネットワークカメラが乗っ取られる仕組みと、狙われる理由
- 公的機関が公表している国内外の実際の被害事例
- プライバシーや法令の観点で問題になりやすい運用
- 導入時と運用中にすべき具体的な対策
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防犯カメラの危険性は大きく3種類
サイバー面のリスク
インターネットに接続されたカメラは、外部から不正にアクセスされる可能性があります。映像を盗み見られる、カメラの向きを勝手に操作される、録画データを消されるといった被害が想定されます。
カメラは単なる機械ではなく、ネットワークにつながったコンピュータです。パソコンやサーバーと同じように、設定と管理が必要になります。
プライバシー・法的なリスク
隣家や公道を必要以上に映す配置は、プライバシーの侵害を指摘される可能性があります。従業員を継続的に撮影する場合は、労使間のトラブルにつながることもあります。
撮影した映像は個人情報として扱われるため、管理の義務も発生します。設置した時点で、事業者としての責任を負うことになるという理解が必要です。
運用面のリスク
見落とされやすいのがこの種類です。いざというときに録画されていなかった、必要な場面が画角から外れていた、保存期間が短くてすでに消えていた。こうした事態は珍しくありません。
設置しただけで安心してしまい、確認しない状態が続くのが典型的な失敗です。カメラがあることで油断が生まれ、他の防犯対策がおろそかになる場合もあります。
設置しないことがリスク回避にはならない
危険性を並べると導入をためらいがちですが、設置しない選択にも別のリスクがあります。侵入や盗難が起きたときに何も記録が残らず、原因も犯人も分からないまま終わります。
トラブルの際に「証拠がない」ことで不利な立場に置かれる事例は多くあります。問題は設置するかどうかではなく、適切に設定して運用できるかどうかです。
関連記事:防犯カメラの設置場所はどこがいい?効果的な位置と高さ、避けるべき場所を解説
ネットワークカメラが乗っ取られる仕組み
どうやって侵入されるのか
攻撃の手口は特別なものではありません。インターネット上のIPアドレスを機械的にスキャンし、応答した機器に対して既知のパスワードを試すという単純な方法です。
特定の企業を狙い撃ちするわけではなく、脆弱な機器を無差別に探しているのが実態です。規模の小さい事業所だから狙われない、という考え方は通用しません。
インターネットに接続した瞬間から、機器はこうしたスキャンの対象になります。
初期パスワードのまま使うリスク
最大の原因がこれです。機器の初期パスワードは、製品ごとに共通の単純なものが設定されており、その情報はインターネット上で容易に入手できます。
警察も注意喚起を行っており、運用を開始する前に必ず複雑なものへ変更するよう呼びかけています。管理画面へのアクセスを使わないつもりでも、機能自体は有効なままです。
過去に世界中の防犯カメラ映像が公開状態になっていた事例でも、原因は高度な攻撃ではなく初期パスワードの放置でした。
乗っ取られると何が起きるか
まず映像を見られます。店舗であれば営業状況や現金の扱いが、事務所であれば書類やホワイトボードの内容が、外部に筒抜けになります。
向きを変えられる機種であれば、遠隔で操作されて別の場所を映されることもあります。音声の送受信ができる機種では、カメラから音声を流されるという被害も報告されています。
さらに、録画データを削除されれば、本来の目的である証拠の保全すら果たせなくなります。
関連記事:防犯カメラの買取相場と売る前の準備|データ消去・撤去とリース中の注意点を解説
実際に起きた事例
河川監視カメラ337台が運用停止
2023年1月、国土交通省が所管する河川情報提供システムの簡易型ネットワークカメラで、大量の通信が発生していることが判明しました。
対応として、337台の機器の運用を停止し、全機器の交換、通信ポートの閉塞、パスワードの再設定が行われています。公的機関が管理する設備であっても、この規模の対応が必要になる事態が起きています。
学校・保育所のカメラでマルウェア感染
情報通信研究機構は、学校の防犯システムや保育所の見守りカメラで、マルウェア感染の疑いがある通信を観測したと公表しています。
いずれも十分なセキュリティ対策が行われておらず、第三者から映像が閲覧できる状態になっていました。保育所ではインターネットが使えない状態にも陥っています。
この事案を受け、文部科学省とこども家庭庁から、ネットワークカメラの設定について注意喚起が行われました。インターネットからのアクセスが想定される範囲に制限されているか、ファームウェアが最新かを確認するよう求める内容です。
クラウド型サービスでの大規模流出
海外では、クラウド型のカメラサービスが不正アクセスを受け、企業や病院、学校など多数の施設の映像が流出した事例があります。
このケースの原因は、管理者アカウントの認証情報がインターネット上に公開されていたことでした。機器そのものの設定ではなく、サービス側の運用に起因する事例です。
クラウド型は管理の手間が少ない反面、サービス提供者のセキュリティ体制に依存する部分があります。選定時には、その事業者がどのような対策を講じているかも確認材料になります。
国が実施している注意喚起の取組
総務省と情報通信研究機構は、通信事業者と連携し、サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を調査して利用者に注意喚起する取組を行っています。
この取組のサイトでは、ルーターやネットワークカメラの乗っ取り事例が具体的に紹介されています。自社の機器が対象になっていないか確認する材料として活用できます。
参照:NOTICE(総務省・情報通信研究機構)「ルーター/ネットワークカメラの乗っ取り事例」
関連記事:防犯カメラの配線方法と種類|距離の上限・工事費の目安と自分でできる範囲を解説
| 安全に運用できる設定まで含めてお引き受けします すでに設置済みの機器が安全な設定になっているか、点検からお引き受けします。他社で導入された機器でも構いません。 お問い合わせはこちらから。 |
自社が加害者になるリスク
攻撃の踏み台にされる
見落とされがちですが、乗っ取られたカメラは他者への攻撃に使われることがあります。多数の機器を乗っ取ってまとめて操り、特定のサイトへ大量の通信を送りつける手口が知られています。
この場合、自社の回線から攻撃が発信されることになります。被害者であると同時に、加害の一端を担う立場になってしまいます。
先に挙げた河川監視カメラの事例で「大量の通信が発生した」というのも、こうした状態に陥っていた可能性を示すものです。
社内ネットワークへの侵入経路になる
カメラが社内の他の機器と同じネットワークにつながっている場合、カメラを起点にパソコンやサーバーへアクセスされる可能性があります。
セキュリティ対策の弱い機器が1台あるだけで、ネットワーク全体の守りが崩れるという構造です。複合機やパソコンをきちんと管理していても、カメラが穴になれば意味がありません。
被害に気づきにくい
パソコンであれば動作が重くなる、警告が出るといった兆候がありますが、カメラは映像が映っていれば正常に見えます。乗っ取られていても気づかないまま何年も経つことがあります。
異常の発見が遅れやすいという点が、この問題の厄介なところです。定期的に確認する仕組みがなければ、発覚するのは外部から指摘を受けたときになります。
プライバシーと法的なリスク
隣家や公道を映す配置
自分の敷地を守るためのカメラが、隣家の玄関や窓、庭を継続的に映していると、プライバシーの侵害を指摘される可能性があります。
画角は自敷地内に収めるのが原則です。どうしても入る場合は、映像の一部を隠すマスキング機能を使うか、角度を調整してください。設置前に近隣へ説明しておくと、後の摩擦を避けられます。
従業員を撮影する場合
オフィスや店舗への設置は、必然的に従業員を継続的に撮影することになります。目的を説明しないまま設置すると、監視されているという受け止めから職場の空気が悪くなります。
設置の目的、映す範囲、保存期間と管理方法を社内に説明し、理解を得たうえで運用するのが望ましい進め方です。更衣室や休憩室内の着替えスペースには設置しないという線引きも必要です。
目的外の利用
防犯目的で取得した映像を、来店客の分析といった商業目的に転用する場合、あらかじめ本人の同意を得る必要があるとされています。
当初の目的の範囲を超えた利用には、追加の手続きが必要という原則を押さえておいてください。従業員の勤務態度の評価に使うといった転用も、同様に慎重な検討が求められます。
映像データの管理義務
特定の個人を識別できる映像は個人情報として扱われるため、事業者には安全管理の措置を講じる義務があります。機器やデータ保存媒体の盗難防止、システムへのアクセス制御などが含まれます。
保存期間は目的から逆算して設定し、不要になったものは遅滞なく消去する運用が求められます。「とりあえず全部残しておく」という運用は、管理の負担とリスクを増やすだけです。
機器選びに潜むリスク
安価な製品とサポート体制
通販サイトでは非常に安価なネットワークカメラが販売されています。仕様表だけを見れば十分な性能に見えるものもあります。
確認すべきは、日本語のサポート窓口があるか、不具合が見つかった際に修正が提供されるかです。問い合わせ先が存在しない製品では、問題が起きても対処のしようがありません。
ファームウェア更新の提供期間
機器の内部ソフトウェアであるファームウェアは、脆弱性が見つかったときに修正版が提供されます。この更新が提供されない製品は、既知の弱点を抱えたまま使い続けることになります。
何年間、どのような形で更新が提供されるのかをメーカーの公表情報で確認してください。販売が終了した製品では、すでに更新が止まっている場合があります。
技術基準適合証明のない無線機器
海外から個人輸入した無線機能付きのカメラには、日本の技術基準適合証明を受けていないものがあります。いわゆる技適マークがない機器です。
こうした機器を国内で使用すると電波法に抵触するおそれがあります。価格が安いという理由だけで選ぶと、法令上の問題を抱えることになります。
中古機器や引き継いだ機器
前の入居者が残していったカメラ、中古で購入した機器をそのまま使うのも危険です。以前の設定が残っている、管理画面のアカウントが分からないといった状態では、誰がアクセスできるのかを把握できません。
使い続けるのであれば、初期化したうえで設定をやり直す必要があります。
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導入時にすべき対策
パスワードを必ず変更する
最も基本的で、最も効果の大きい対策です。設置作業の一環として必ず実施してください。使い回しを避け、他のシステムと異なるものを設定します。
設置業者に任せた場合も、変更されているかを確認してください。工事が終わったあと、初期パスワードのままだったという事例は実際にあります。
外部からの接続を制限する
外出先から映像を見る必要がないのであれば、インターネットからアクセスできない設定にするのが最も安全です。それだけで、無差別スキャンの対象から外れます。
遠隔で見たい場合は、機器を直接インターネットに公開するのではなく、メーカーが提供する安全な接続方式やクラウドサービスを利用する構成を選んでください。
ネットワークを分ける
カメラを社内の業務ネットワークと同じ場所に置かず、専用のネットワークに分離する方法があります。万一カメラが侵害されても、パソコンやサーバーへ被害が広がりにくくなります。
台数が多い環境や、機密性の高い情報を扱う事業所では検討する価値があります。
ファームウェアを最新にする
設置時点で最新版になっているかを確認し、その後も定期的に更新してください。自動更新に対応している機種であれば、有効にしておくと手間が減ります。
更新の確認を誰が行うのかを決めておくことが大切です。担当を決めないままだと、誰もやらない状態が続きます。
アカウントの権限を絞る
管理者アカウントは最も強い権限を持つため、使える人数を必要最小限にします。映像を見るだけの人には、閲覧のみの権限を割り当てます。
担当者が退職や異動をした際には、速やかにアカウントを削除するか権限を変更してください。使われなくなったアカウントが残り続けるのは典型的な弱点です。
運用でリスクを下げる
保存期間とアクセス権を決める
録画データをどれくらい保存するかを決め、その期間を超えたものは自動的に上書きまたは削除される設定にします。長く残すほど、流出したときの被害も大きくなります。
誰が映像を見られるのか、外部に提供する場合の手順はどうするのかも、あらかじめ文書にしておいてください。警察から照会を受けた際の対応も含めて決めておくと、いざというときに迷いません。
定期的に設定と映像を確認する
設置したときの設定が、そのまま維持されているとは限りません。機器の再起動やリセットで初期状態に戻ることもあります。
月に一度は実際の映像を確認し、画角がずれていないか、録画されているかを見てください。あわせて、アカウントの一覧と更新の状況も定期的に点検する運用にしておくと安全です。
業者選びが最後の砦になる
ここまで挙げた対策の多くは、専門的な知識を必要とします。自社で対応しきれない場合、設置と保守を任せる業者の力量がそのまま安全性を左右します。
確認したいのは、パスワードや接続の設定まで作業に含まれるか、ファームウェア更新の案内があるか、トラブル時に連絡できる窓口があるかという点です。カメラを取り付けるだけの業者と、運用まで支えられる業者では、数年後の状態が大きく変わります。
まとめ|危険は設定と運用で下げられる
防犯カメラの危険性は、乗っ取りなどのサイバー面、プライバシーや法令に関わる面、そして録れていないという運用面の3つに分けられます。どれも現実に起きている問題です。
国内でも、公的機関が管理する河川監視カメラ337台が運用停止に至った事例や、学校や保育所のカメラでマルウェア感染が確認された事例が公表されています。原因の多くは初期パスワードの放置と、外部からアクセスできる状態のまま運用していたことでした。
裏を返せば、パスワードの変更と接続範囲の制限という2つを導入時に確実に行うだけで、大半の被害は防げます。そのうえでファームウェアを更新し、アカウントの権限を絞れば、水準はさらに上がります。
設置しない選択にも別のリスクがあります。問われているのは導入の是非ではなく、適切に設定して運用できる体制を用意できるかどうかです。自社で対応が難しい部分は、任せられる相手を選ぶところから始めてください。
| 安全に運用できる設定まで含めてお引き受けします 防犯カメラの選定から設置、安全な設定、その後の保守まで一括で対応します。複合機やネットワーク環境とあわせてご相談いただけます。 お問い合わせはこちらから。 |